雪音「紫音」
紫音「やぁ、雪。どうしたの？」
雪音「遅くなったがこれをお前に」
紫音「…なあに？これ」
雪音「バレンタインのチョコだ。兄弟や家族に渡している者もいたから俺も…」
紫音「…！雪が僕に…チョコを…？」
雪音「ああ。お前の口に合えばいが…」
紫音「…ふふ。ふふふふふ…」
雪音「…？」
紫音「はぁ…これどうしようかな。防腐剤？いや、冷凍保存にした方がいいかな。それなら強力な凍結魔法を…」
雪音「ちょっと待ってくれ」
紫音「うん？雪が凍らせてくれるの？」
雪音「いや…一緒に食べないか？」
紫音「え…」
雪音「…ダメか？」
紫音「ううん、もちろん雪が望むなら。一緒に食べようか」
雪音「ああ」
紫音「それにしても雪が僕の言葉を遮るなんて。そんなに食べてほしかったの？」
雪音「今回は紺碧や梓紗、花葉と相談して選んだんだ。だからそんなに不味くはないと思う」
紫音「うん…？えーと…もしかして雪、僕が今まで君に貰ったものをすぐに食べなかったの、僕の口に合わなかったからだと思ってる？」
雪音「…違うのか？」
紫音「はぁ、まったくこの人は…。いい？僕はね、雪から貰ったものはぜーんぶとっておきたいの。だから君から食べ物を貰ったときが1番困るんだよねぇ。食べたらなくなっちゃうし」
雪音「なぜそんなことをしている…」
紫音「雪のことが大好きだから」
雪音「…なんか食い気味で来たな。お前が望むならいくらでも渡すが…？」
紫音「雪、ダメだよ。君みたいな天使のような存在がそんな易易と人に物をあげちゃ」
雪音「天使…？」
紫音「ま、いいや。ありがと。じゃあ早速食べようか？」
雪音「ああ」
紫音「その前に紅茶を入れてこようかな。あ、雪はコーヒーがいいよね？」
雪音「いや、今日は俺も紅茶にしよう」
紫音「雪が紅茶なんて珍しいね？」
雪音「紅茶似合うようなチョコを探したんだ。せっかくなら紅茶と食べた方がいいだろう」
紫音「それって僕が紅茶好きだから…？」
雪音「せっかくお前に渡すのならお前の好きそうなものにしたかったんだ」
紫音「雪がそこまで僕のことを考えてくれていたなんて…！うぅ…余計に食べるのがもったいない…。…ねぇ、やっぱ1粒だけとっておいていい？」
雪音「ダメだ。ここで俺と一緒に全て食べろ」
紫音「な、なんか雪が花依斗くんが言いそうなこと言った…！？…うん。こういう強気な雪も悪くないかも…ふふふ…」
雪音「…なんかさっきにも増して嬉しそうだな…？」
紫音「ところで雪」
雪音「どうした？」
紫音「…他に雪からチョコ渡したやつはいるの？」
雪音「いや…？お前だけだが…やはり他のメンバーにも渡した方がいいだろうか」
紫音「だーめ。雪から貰うのは僕だけでいいの。他のやつだってバディとか兄弟で交換してればよくない？」
雪音「ふむ…バディで交換するのも楽しそうだ。だが俺が渡したのはお前がバディだからという理由ではない。お前にはいつも感謝しているからだ」
紫音「…ふふ。それが聞けるだけで僕は満足だけだどなぁ」
雪音「ささやかではあるがチョコも受け取ってくれ。そしてこれからもよろしく頼む」
紫音「もちろん。チョコなんて貰わなくてもこれからも僕は雪のために動くよ」
雪音「ああ、ありがとう。俺ももう少しお前に頼りすぎないようにしないとな」
紫音「いいんだよ。僕は雪が頼ってくれるのが嬉しいから」
雪音「お前がいつもそう言ってくれて、実際俺は甘えてばかりだ。…俺もお前の力になりたい」
紫音「いいの。雪がいつもそばで笑ってくれているだけで力になってるから。それに、雪と僕は得意なことが違うでしょ？」
雪音「…たしかにそうだな。ではこれからも俺に手を貸してくれ」
紫音「ふふ、もちろん。…雪が嫌だって言ってもずっと君のそばにいるからね」
雪音「…？何か言ったか？」
紫音「なんでもない。じゃ、紅茶入れてくるから少し待ってて？」
雪音「ああ」