なにさまおこさま「なぁ、あれ言うて」
明け方の気怠い空気のなか、こはくがそんなことを言うので、斑は沈みかけていた意識をもう一度眠りの縁から引っ張り出してこなくてはならなかった。
あれ、とは。正直、口を開くのも億劫だったので目線だけで問うと、こはくはいたずらっぽく笑って「マセガキ」とだけ囁いた。
「はあ?」
「やってみろよ、マセガキ、っちやつ」
なぜいま。再度になるが、斑はもう半分眠りの中にいたのだ。彼の発言の理由を考えることにより得られるメリットと、このまま眠りについたときのそれとを天秤にかけ、さっさと布団を頭まで引き上げた。
「なぁ、なぁ」
「……本日の営業は終了いたしました」
「まだ四時やで」
ぐい、と布団を引っ張られて呻いた。誰のせいでこんな時間になったというのか。半分ほどは散々煽った自分のせいなのだけれど、とりあえずそれは棚に上げておくとして、斑は地を這うような声を出した。
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