💀🧼SS「よう、中尉。久しぶり」
「軍曹。いつ戻った?」
「ついさっきだ。装備を置いて早くシャワーを浴びたいね」
顔を顰めるソープに近寄りヘルメットで押さえ込まれて癖のついたモヒカンヘアーのトップに鼻を埋める。
火薬の焦げた臭い、砂埃、嗅ぎ慣れた戦場の臭い。それに加えて饐えた汗の臭いと体臭。正直、好んで嗅ぎたいという部類ではない臭いだが、生きた生物の臭いだ。
「…臭い」
「さすがゴースト。任務帰りの人間に向かって、最っ高の褒め言葉だな」
皮肉を漏らすソープの髪を掻き混ぜながら、少し身を引いて様子を観察する。
いつも通りの口調、立ち方、衣類や装備には血痕もない。状態を確認し終えて安堵の溜息を吐く。
「…おかえり、ジョニー。シャワーを浴びたらデブリーフィングだ。次の任務までに情報の擦り合わせをしておきたい」
「りょーかい、中尉」
甘えたような返事をしながらソープは少しだけ背伸びしてゴーストに身を寄せた。バラクラバから覗く目元に少しかさついた唇と伸びた髭がちくりと触れた。
「汗臭いからくっつくな」
「なんだよ、嬉しい癖に」
「言ってろ」
じゃれ合いの後、上機嫌にシャワールームの方へと進む足音を聞きながらゴーストは鼻の奥に残ったソープの残り香に、彼の帰還を実感して酷く安堵した。