梵小敢えて詳細は省くが、俺は突然、未来の自分の姿が確認できる筒なるものを発見した。
その筒を空にかざして覗けば数年後の未来の絵が流れ始めて、嘘か誠か奥州の覇者となった輝かしい自分の姿を確認できるのだという。
しかしこのような不確定な情報を片倉に説明してもどうせ信じてもらえないだろうから、こうして一人で快晴の空を相手に筒を傾けているのである。
「!」
早速左目に映ったのは華奢な隻眼の男、つまり未来の俺の姿と、がたいのいい仏頂面の男、つまり未来の片倉だった。
未来の奥州伊達軍に片倉が残っている時点で既に驚きだったが、問題はその先であって、どうやら未来の俺は少なからず片倉と仲良くやっているらしい、つまるところ自分の寝床と思しき部屋に片倉を呼んで酒を嗜みながら時折肩を抱いたり、あろうことか口吸いまでしているのだ。
つまり俺と片倉は衆道関係に陥っているという訳だ。
「……。」
このなんとも信じ難い未来の映像に一瞬頭がおいつかなかったが、未来の俺が一度、二度と繰り返し唇を押し当てるたびにこ二人の濃密な関係が飛び込んできて、気づいた時には手元から筒を落としてしまっていた、そんなタイミングの悪い時に片倉本人が登場するものだから俺の恐怖は一段と高まっていく。
「?どうした。」
「ち、近寄るんじゃねえ!気持ち悪い!」
「あ?」
首を傾げる片倉を他所に頭の中でぐるぐると駆け巡る映像を振り払うかのように一目散に駆け出した、当然片倉は訝しげな表情をしていたが、それどころではなく、俺の未来の自分を閲覧するという計画はある意味失敗に終わったのである。