忘年会とコスプレえっち(コスプレえっちマイナス版)「卯木、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「なんの件?」
「いや、なんのってわけでもないんだが、今ちょっと時間あるか?」
「何分ぐらい?」
「カフェスペ行って飲んで帰ってくるぐらい」
「なくはない」
また合コンの誘いか? と思いつつ、しかしそれならばここで言うだろう。微妙な歯切れの悪さを見るに、何かややこしいことにでもなっているのか? と腰を上げた。
「卯木はなんにする?」
「え? 自分で買うよ」
「いや、まあまあ」
「……じゃあコーヒー」
「ブラックだよな。ホット?」
「いや、アイス」
「お」
ボタンを押すやけに太い指先を見ながら、この様子では面倒そうだと千景は内心溜め息をついた。
ガコン、という音が二回あって、十二月の自販機に冷えたコーヒーが二つ落ちている。茅ヶ崎がここにいたら信じられないという顔をするだろう。
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