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    #ジャンミカ発表会

    支部に上げたこの作品 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21256194 をベースにしたジャンミカです
    終盤の「初めて身体を交わした翌朝、ジャンの手によってはめられたこの指輪は〜」のくだりを抜き出して書いた感じです

    ただ!すいません、数時間で書いたインスタントな作品です💦
    ジャンミカ発表会楽しませていただきます!!!

    Eternal flame ミカサの漆黒の睫毛がわずかに揺れたのを見て、ジャンは体を硬直させた。慌てて体勢を整えようとしたが、ミカサは今にも目を覚まさんとしている。ジャンは慌ててブランケットを被り直し、未だ眠りから覚めていないテイを取ろうとした。
     しかし、ジャンの無様な隠蔽よりもミカサの銀灰色の瞳が開く方がわずかに早かった。
    「…起きてたの。」
    「…ごめん、寝顔見てた…。」
    「…あくしゅみ。」
     ミカサの言葉にショックを受けたジャンは悲哀で顔を歪ませる。
    「ごめん、嫌だったか?!」
    「うそ、じょうだん。」
     ミカサの声色は甘くあどけない。まだ半分眠りの中にいるようである。いつも完全無欠な麗人である姿からは想像できないような声音を聞いたジャンは、自身の劣情が再燃するような感覚を覚えた。
     小さく身を起こし、腕の中にミカサを収める。その形がよくわかるくらいに整ったミカサの鎖骨には、昨晩ジャンが付けた欲望の印が赤く残っていた。ジャンは目を閉じ、それを噛みしめるようにして再びミカサの首筋に口づけを落とす。
    「…ジャン、もう…朝…。ん…」
     そんなことは解っている。農業を生業としているミカサは、日が昇ると同時に仕事に行くことも、鶏舎のニワトリたちに餌をやらなければいけないことも解っている。
     しかし、この日ばかりは状況が違う。
     初めて結ばれた朝なのだから。
     ジャンはミカサの首筋から顔を離し、薄明りに浮かぶミカサの表情を見る。半分眠りの中にいたミカサは既に覚醒し、うるんだ瞳を交わした。
     ジャンはそれに誘われる形でミカサの形の良い唇をなぞると、小さな吐息が漏れるのが分かった。ミカサの腕が背中に回る感覚と共に、ジャンは再びミカサに口づける。
     次第に明度が増していく室内で、二人はただ目の前しか見えぬような感覚となり、甘く熱く溶けていった。


     一線を越えたジャンとミカサが初めて二人で行った共同作業は洗濯だった。
     ついさっきまで二人を包んでいたシーツを洗濯桶に放り、石鹸の泡に漬けていく。まるで昨晩の営みをまざまざと洗い流すような心地になり、ジャンは妙な気恥しさを覚えた。
     雲一つない空のもと、シーツを広げる。清々しく、目に痛いほどの青だった。
    「…嘘みたいだな。」
    「何が?」
    「一緒にこうして朝を迎えて、隣でお前が笑ってて、こんなに綺麗な空なんだもんなぁ。」
     ミカサは驚いたような顔で瞬きをした。
    「私が隣にいるのが夢みたい?」
    「ああ。」
    「…変なの…訓練兵の頃から、ずっと一緒だったのに。」
     パン、と濡れたシーツのしわを伸ばす音が庭に響いた。ミカサは丁寧な所作で次々としわを伸ばしていく。
     変かな?とジャンは思った。ジャンの中では、ミカサはずっと傍にいながらも手の届かない存在だった。いいや、いつの頃からか、手を伸ばしてはいけないような気がしていた。
     ジャンとて、わかっていたのだ。
     エレンとミカサが隣り合って笑いながら、新しい朝を迎える日常こそが最良なのだと。
    しかし、そんな未来が潰えた今、何が正しいのかなんてわからない。
     様々なめぐり合わせによってジャンはミカサの隣を歩き、共に笑い、時に求め合う距離にいられることになった。かつての友は「何をすべきかわかるだろ」と言っていたが、その友がこの現状を見たら「正しい」と言ってくれるだろうか。
     そんな奇跡と妥協と不安が綱のように絡まり合った状態が今、二人身体を重ねた朝だった。そんな状況を祝福するかのような青空は、ジャンの心に不思議な爽快感を与えていた。
    「なぁミカサ。」
    「なぁに?」
     ふわり、と風が吹き、シーツがはためく。
     時にジャンの視界を妨げる。すぐ隣にいるミカサはシーツはためきに消え、影だけがその存在を示している。
     ジャンはシーツに構わず、ミカサを抱き寄せた。シーツごと引き寄せられたミカサは驚いて目を見開くが、ジャンの体温を受け入れる形でその背に手を回す。
    「変だよな。」
    「何?」
    「ミカサと一つになれたら、不安も何もかも消えるような気がしたけど…逆だった。」
    「不安にさせてしまった?…私とああいうこと、しない方が良かった…?」
     ミカサは不安そうな眼差しをジャンに向ける。体を重ねることが不安だったのは、ジャンだけではない。ミカサの本音もそうだったのだ。
    「いいや。そうじゃない。」
     ジャンはシーツをミカサの体から剥ぎ取り、ミカサの手を取った。真正面から銀灰色の瞳を捕らえれば、その眼はまっすぐにジャンの容貌を映していた。
    「もっと好きになった。気持ちが溢れて溺れそうなくらい、ミカサのことを愛している。」
     恋人という関係に進むときもここまで真っ直ぐな気持ちを言えた記憶は無い。しかし、今のジャンにはどんな言葉でも言えそうな気がしていた。エレンへの裏切りになるとしても、例えかつての友が悲しい顔をしても、今のジャンの中に溢れる気持ちは、確かなものとしてミカサに伝えたかった。
     ミカサはたちまち頬を紅潮させた。何かを言おうとしてくれているようだが「残念な言語能力」のため、口をはくはくさせているだけだった。そんな完全無欠の麗人が戸惑う姿は、ジャンにとっては愛おしさを増長させる要素でしかない。
    「…実はさっき『寝顔を見ていた』と言ったが…本当はサイズの確認をさせてもらってたんだ。」
     ジャンはミカサの足元に跪き、ミカサの左手を取った。その薬指へ、ジャンはポケットから取り出した銀の指輪をゆっくりとはめていく。シンプルで洗練されたフォルム…ジャンはまるで、立体機動装置のパーツのようだと思った。
    事前確認が功を奏し、ミカサの指に自然に馴染むようにフィットしていた。
    「もし、サイズが合わなかったら今日急いで街に行って作り直してもらう予定だったんだ。カッコついてよかったぜ。」
     ジャンがはにかんだ笑顔を見せようとしたところに、ドン、と鈍い音がした。ミカサがジャンの胸に飛び込んだのだ。
    「ありがとう、ジャン。」
    「…うん…。マーレじゃ、結婚したい相手に指輪を送る習慣があるんだとさ。ミカサ、俺もその習慣とやらに便乗したいんだが、良いか?」
    「…うん。」
     ミカサの首が縦に動くのを確認して、ジャンは安堵した。
    「結婚してほしい。ずっと、俺の隣で笑っていてほしい。俺はどこにも行かない。そんな平凡な男で良ければ、どうか…ずっと一緒にいてほしい。」
    「する…。」
     ミカサの腕の力が強くなる。ジャンはあふれ出てくる気持ちの心地よさに酔いしれそうになりながら、その力に応えた。
    「ありがとう。ミカサ。」

     空にはためくシーツを見上げながら、ジャンとミカサは庭に寝ころんでいた。草と土と、二人で交し合う体温が温かくて気持ち良い。
     本当に夢のようなひと時だと思った。
    「私はたぶん、この時を死ぬまで忘れないと思う。」
    「…俺もだよ。」
     ジャンはミカサの額に口づけた。
    二人の未来を祝福するように、優しく静かな時が二人の間を包んでいた。


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