お医者様の見たIFの先で「んん……く、そぉ……」
机に突っ伏した金髪は眉間に皺を寄せてブツブツと呟きながらも眠りについている。手元には数字の代わりにアルファベットが書かれている複数のダイスと、それをすっぽりと覆い隠すことができるような大きさの箱が一つ。
それは私と獅子神が初めて出会った「タンブリング・エース」を彷彿とさせるもので、懐かしさに机に転がるダイスを一つ手に取る。
恐らく獅子神が狙った目はあのゲームの勝敗を決めた「A」の目だろう。しかし机の上に散らばるダイスの目はバラバラで、何一つ揃っているものはない。一つだけ「A」の盤面が上に来ているダイスはあるが、恐らく偶然だろう。
「まさかあれからずっと練習しているのか」
それとも、今まで練習はしていなかったが不意に思い出して試してみたか。
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