馬乗りになって、眼下の光景を眺める。
バンザイのように上げた状態で固定されている腕、シーツの上に放射状に広がる波打つ金糸の髪、見ただけで虫酸の走る不愉快な顔とエメラルドに輝く瞳、そして薄手の黒い生地に覆われている上体。
視線を移す。やや光沢のある黒い布地の、胸板を横切るように開いたスリットから、大胸筋の一部が覗いている。
……自分に対して裸ネクタイだの何だのと散々罵ってきた奴が、こんな痴女紛いの服を着ていることに苛立ちを覚える。
──どう考えても胸スリットの方が頭沸いてるだろ。
巨乳女ならまだしも、190近い大男が着る服のチョイスではない。
「クソが」
悪態をつきつつ、とりあえず布越しの大胸筋を撫でてみる。
「……」
1515