翠緑の湖畔から.
水滴の落ちる音で始まって終わる夢だ。いつものなんの変哲もない。悪夢でもなんでもない。精神世界のような場所で、俺とよく似た男が立っていて、こちらを見つめているだけの世界。その男に話しかけても、殴ってみても反応はなく。まるで死体のようで、最初はずいぶん気味が悪かった。
ぽちゃり。水面を跳ねる水の音。それだけがこの静寂のなかで音を生み出している。平穏で味気のない夢に、俺はいつからか安心感を覚えるようになっていった。
だがある日を境に、その死体が少しずつこちらに近づいていることに気がついた。いつからだろう。新しい乗組員。新たな開拓者。彼女が乗ったあたりからだろうか。ベロブルグを開拓しはじめてから、その死体は間違いなく。確かに俺の方へと近づいていた。
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