アビスの魔術師の作り出した氷柱がビシビシと足元を凍りつかせる。と同時に爆風と炎が己の身に降りかかって来るのを、すんでところでかわし、タルタリヤは内心ヒヤリとしながらその二元素を送り込んだ少年を見遣った。
────面白い。
相棒と、似ていると思った。殿下と呼ばれる、アビスを従える存在の彼と殺りあえる事は、かつての黄金屋の彼女との戦いを彷彿とさせる。
ただ────雑魚が邪魔だな。
彼と真剣勝負をしたい。タルタリヤを見下ろす少年の表情は、己に少しの関心も持ち合わせていなくて……まるで道端のゴミを処理しようとでもしているかのようで、その高慢ちきな態度を一蹴してやりたいと、矜持なのか、それともこちらを見下す相手をただ見返してやりたいという闘争心なのか……
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