レムの英雄否定について────
31巻時点の感想
レムがスバルを英雄じゃないと否定したのは、スバルが傷付くのを恐れてるからだと思う。七章初期、一人で無理をするスバルによく怒ってたのと同じ理由。
あと強い根拠はないけど、たびたびスバルとレムの共通点が書かれているから、同族嫌悪も原因かも。
なんでスバルが傷付くのが嫌なのか、補足。
英雄の否定シーンでレムは、なぜアラキアから自分を庇ったのかと言及してる。たびたび記憶をなくす前の名残りが垣間見えるくらいだから、幼少期ラムに庇われ、二章ではスバルに庇われたトラウマも無意識下に残ってるのかなと思う。
それと、以前のレムにとってはラムとスバルが中心で、二章以前なんて排他的と言えるほどだったけど、記憶がなくなったことでそれが変化し、生来の善性が周囲のみんなへ向かうようになった気がする。この変化は初対面のルイを守ろうとする態度や、みんなを助ける癒者としての立場でも補足強調されてる気がする。つまり、スバルに限らず、みんなが傷付くのが嫌。みんなが傷つくのが嫌なのはスバルもそう。
レムは二章でスバルから教えてもらった、人を頼る、ということを忘れてしまった。(三章ゼロから回、「荷物を分け合って、お互いに支え合いながら歩こう。あの朝に、そう言ってくれましたよね?」)
人を頼ることを忘れたレムの英雄像は変質し、一人では弱いスバルを英雄ではないと否定する。(逆に、スバルはみんなに支えられてみんなを救う英雄、的なことが五章演説回かどこかで書かれてたと思う。うろ覚え)
レムが話したのは「あなたは一人で全部を抱え込めるほど強い人間じゃない。英雄じゃないんですから、全部の責任を負う必要はない」って旨だと思うけど、これはスバルに心身ともに傷付いてほしくないからこその言葉に思える。それと、一人で抱え込んでいた二章以前のレムも彷彿とさせる言葉でもある。
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34巻を読んで追記
記憶ありレムとスバルの最後の会話(白鯨戦後のレムの英雄は世界一ですのくだり)で言っていた「スバルくんが困っているとき、誰よりも先に手を差し伸べるのはレムでありたい」って願いが、今後最高の形で叶うといいなと思う。
この願いの名残りが記憶なしレムの中にあって、レムや他者に頼らず無茶し続けるスバルにレムは怒ってたんじゃないかな……と34巻1-6(書籍書き下ろし)のレムの前で強がるスバルをきっかけに想像した。
以前のスバルは弱さを見せるのはレムの前だけと決めていたけど、レムの記憶が消えてからは、自分という重荷をを背負わせまいとレムの前で強がるようになってしまっている。(27巻4-4/web7章20)