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    iduha_dkz

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    高卒プロ入りで、同じチームになれなかった円と桃吾が、FA権獲得して同じチームになる世界線の妄想色々メモ
    同じチームという夢を勝ち取る場合、横に困難があって欲しいので、プロ入り後早めのタイミングで桃吾は綾瀬川のいるパンサーズに移籍する羽目になっています
    逆に綾は大和と同リーグ所属で頻繁に楽しそうに勝負できてる世界線です
    大和から桃吾への呼び方の捏造が含まれます

    ■桃吾の移籍
    高校卒業してプロ入りし、円と同じチームになるぞと頑張っていたニ年目のシーズン序盤に、トレードで綾のいるパンサーズに移籍することになる桃吾。
    パンサーズは諸事情でキャッチャーが一人離脱して急遽補強が必要な状況で、一方桃吾の側の球団は捕手が潤沢だったのでトレードが成立した。
    高校卒業時にしっかりとお別れをしたのに、わりとすぐにまた同じチームになったことに綾も桃吾も最初複雑な気持ちで再会する。

    移籍して寮に入った日の会話
    「久しぶりー。あんな風にお別れしたのに、またすぐ一緒のチームになるなんてね」
    「……今度は、オレがそうしようと思ったわけやあらへん」
    「うん、わかってる。それは高校の三年間だけだったって」
    「……ほうや」
    「でも前のチームよりうちの方がチーム事情的に一軍入りやすいと思うよ。だからちょっと付き合って」
    「……お前、捕手補強すんのに何か意見してへんやろな」
    「俺からは何も言ってないよ。高校の時組んでたバッテリーは投げやすかったかって聞かれて、それには『はい』って答えたけど」
    「それどう考えても補強の参考にされとるやろがー!」
    「だって、嘘つけないし。それに、お前なら大和とやる時、俺が投げたい球要求されるまで首振る必要ないじゃん。最初から俺に決めさせてくれるでしょ?」
    「……まぁ、言うてもきかへんって知っとるしな」
    「やった」
    「ただ、チームの方針が敬遠の時は勝負させへんからな」
    「……そんなんならないように、ちゃんと抑えるし」


    ■いずれ出ていく桃吾をそっと気遣う綾
    移籍してきた桃吾は、数年後FAで出ていくことを目指しているのに、地元チームというのもあって愛着もって活躍するので、出ていく時きたら大丈夫かなぁと綾は思い始める。
    地元というのもあってファンからはうち一筋の選手という印象を持たれかけているのは、FA権とって移籍する時の反発が大きくなることを綾は過去の経験から知っていた。
    綾がいないなら円が桃吾のいるチームに移籍する可能性もあったが、綾がいるチームを円と桃吾が選ぶわけはないことも、綾は何となく察している。
    危なっかしいので円の所との試合がある度に円を呼んで桃と会話させて、世間にこの二人の仲の良さを認識させるという地味な気を使っている綾。
    その結果、世間には三人仲いいねと思われている。

    念願叶って桃が円と同じチームに移籍決定した時の会見は、今までこのチームにはとてもお世話になったこと、パンサーズがとても好きなこと、でも綾瀬川と同じチームにいてはどうしても叶えられない小学生の頃からの夢があることを涙ながらに語り、円がうちのチームにくればいいのにと思っていたファンを全員納得させた。
    フェニックスの退団の件でこじれた経験がある綾はだいぶ心配してて世間にアピールする手伝いしてたのに、それが必要なかったんじゃというくらいの軟着陸を見せてえーってなる。
    とはいえ、3人仲良しの情報が浸透しきってたのも、桃吾のFAをすぐに受け入れられた理由の一端にはなっている。

    桃吾がパンサーズにトレード移籍直後にした綾と円の会話
    綾「ねぇ円、あれ大丈夫? 出てく時ファンがアンチにならない?」
    円「桃吾は手ぇ抜けへんからの」
    綾「だから危なくない?」
    円「桃吾やし大丈夫じゃろ」

    桃吾のFA会見後の綾と円の会話
    綾「なにあれ、打倒俺の夢はここじゃ叶えられないからで全員納得させてるんだけど。俺そんなに敵?」
    円「はっはっは」


    ■餞別のVS大和
    桃吾のFA権獲得確定のタイミングは、シーズン途中に決まった。(移籍後の1シーズン目がシーズン途中からの一軍登録だったため)
    FA権獲得が決まったの日の試合後、綾は桃吾におめでとうと声をかける。

    綾「FA権、獲得おめでと」
    桃「まだや、向こうに選んでもらわなあかん。最後まで気い抜けへん」
    綾「成績悪かったら持ち越し?」
    桃「……縁起悪いこと言うなや、アホ!」
    綾「俺は一年延期でもいいけど。後輩達にはやっぱワガママ言いにくいじゃん」
    桃「配球自分で決める、勝負に入ってくるな、やもんなぁ」
    綾「だって絶対打たれたくないし」
    桃「でも読まれて打たれとるやろ」
    綾「……一試合、俺が組み立て決めてるふりして桃吾が決めてみる?」
    桃「……ええんか?」
    綾「餞別。それに、一回くらい桃吾も大和と戦う経験必要でしょ。FA後も同じリーグの予定なんだからさ」
    桃「お前以外が投げとる時、フツーに戦っとるわ!」
    綾「そうだけど、たぶん、違うと思う」
    桃「ハァ?」
    綾「一回任せるけど、でも、中途半端になるなら任せない」
    桃「おん」
    綾「コースと球種だけじゃなくて、フォームやタイミングとか、とにかく全部桃吾に任す。それができないって言うなら、任せるのはなし」
    桃「……やったろうやないけ」

    そんな話をして、次の綾と大和の対決の時がくるまでの間、詳細なサインを決めたり、フォームやタイミングをどうすると抑えやすいか考えたり、綾一人で決めている時と桃がサイン出して決める時の違いで生まれるズレの把握などを行うことに。

    桃「なぁ、流石にこれランナー背負っとる時はタイミングまで俺が決めるの無理ちゃうか? 敬遠タイミングまでコントロールすることになるやろ」
    綾「ランナー背負ってなきゃ気にする必要なくない?」
    桃「……せやな」
    綾「でもそうだね、ランナーもしいたらタイミングは俺かなぁ。絶対出さないようにしないと。全部体験していって欲しいし」
    桃「……確かに考えとること多いけど、俺移籍したら敵になるんにええんか?」
    綾「それも込みで餞別だよ。打てるならどーぞ」
    桃「言うたな、来年覚えとけ」

    こうして色々準備をして迎えた綾先発の大和のチームとの試合は、1回を順調に三者凡退に抑え、2回に四番大和の打席がくる。
    すべて桃吾が決めるリードは大和にとって予想外だったのか、2球目までは空振りをとれたものの、そこからが長い打席になった。
    配球のパターンを観察するかのように、カットが続いて球数ばかりがかさんでいく。
    結局、大和がこの打席は観察をメインの目的にしていて勝負は次の打席が本番と気付き、ファール狙いすると打ち上げてしまいやすいコースと球種を続けて投げた後、似たコースででも最後は別方向に大きく曲がる球を投げて、空振りをとる。
    とはいえ投げてる綾としてはいつ打たれるか毎回ヒヤヒヤする打席だった。
    その後の二人も抑えたものの、ベンチに戻ると一打席目の反省会が始まることに。

    綾「ちょっと! あれ、歩かせる気だったの?」
    桃「カットして組み立ての特徴見ようとしたのはあっちが先や! 全球打ちに来とったらあんな組み立てはせえへん。観察されとるのに、こっちの考え方さらすの損やろ」
    綾「はぁーあ。俺の組み立てとぜんぜん違うからすぐ気づいたんだろうね」
    桃「気づかれへんわけないやろ」
    綾「うん。けど、怖かった……。普段と違うってこととっくに大和は気づいてるから、この球は読まれて打たれるんじゃないかって不安で」
    桃「まだ打たれてへんで」
    綾「まだ、じゃん。もう一打席あるんだけど。絶対桃吾のリードだって気づいたし……」
    桃「俺のリードやと打たれる思っとるやろ」
    綾「……だって他の投手も受けてる桃吾の方が俺より大和と戦ってる数多いし、フツーに打たれてるじゃん」
    桃「おっまえなぁ……」
    綾「打たれるかもしれないって思ってたけど、餞別だし。でも、自分で決めてない球大和に投げるのがこんなに怖いなんて思ってなかった……」
    桃「わかったわ、次は混ぜる」
    綾「え?」
    桃「俺もお前も読まれとっても、どっちが次の球の組み立てしとんのかまで考えんのは、あいつかて初めてやろ」
    綾「それはそう、だけど」
    桃「それにこれなら信頼できてへん球続けて投げんですむやろ」
    綾「……いいの?」
    桃「今更、や。むしろ一部俺が決めるなら進歩やろ」
    綾「……そうだね」

    そして迎えた5回、大和の2打席目は綾と桃吾の組み立てを混ぜることで、うまく大和の虚を突いて、三振を取ることに成功しました。

    綾「抑えれた……」
    桃「打たれずに交代するのいつぶりや?」
    綾「うるさい、そういうの今いらない……」
    桃「今やのうてええけど、これからのおまえにとって大事な話やと思うで」
    綾「桃吾への餞別のつもりだったのに、なんで俺の方がもらったもの大きいんだろ……」

    なお、その試合で綾が交代した抑えの投手は、大和の三打席目にしっかり打たれました。

    その日の試合後、綾にちょっと付き合ってと言われてさっきの話の続きするのかと思ってついていったら、目的地の個室料理屋に大和がすでにいて桃吾は驚くことになる。
    桃「は?」
    綾「あ、桃吾固まった」
    園「試合ぶりです」
    綾「勝負した日はいつも大和と反省会してるんだけどさ、今日は桃吾もいないと成立しないでしょ」
    桃「先に言えやー!」

    そんな会話をした後、食事をしつつ反省会が始まる。

    綾「俺のリードじゃないって、やっぱすぐ気づいた?」
    園「綾瀬川くん、いつも一球目は時間使うのに今日はすぐやったし、違うことはすぐわかったで」
    綾「え、そこで」
    園「やから二球目はしっかり見て、今日は雛くんが決めとりそうやなって確信したのはそこやな」
    桃「俺らしいってどこで判断したん?」
    園「雛くんは立ち上がりの時、ピッチャーの得意な球、早いカウントでいっぺん投げさせること多いやろ。ええ球決まると後も投げやすいやろし、投手に優しい特徴や。来るってわかっとっても、きれいに打てへん球はある」
    桃「で、その次の球を狙い球にしとるんか……」
    園「そればっかりやないけど、基本はそうや」
    桃「次、考えなかんな……」
    園「今日はカット始めたら、いつもの雛くんと違う感じになって読みにくかったです。そうやのうても、綾瀬川くんの組み立てしとるの初めてなのに」
    桃「情報を無意味に増やすつもりあらへんかったからな」
    園「今回限りやろなぁ思ったら、次の打席でちゃんと勝負しとうて」
    綾「え、そこまでわかってたの?」
    園「なんとなくそうやろなぁって。それに、今回限りやのうても、今シーズン限りではあるやろし」
    綾「今年の成績がふるわないなら、先延ばしはあるかもしれないってさ」
    桃「やから、縁起でもないことゆうなや!」
    園「それで、なるべくいい条件で戦ってみとうて、見させてもらうことにしたんや。そしたら見ようとしとった隙突かれてもうた」
    桃「カットして配球見るなんて慣れてへんことするより、打ちに来られた方が怖かったで」
    園「次もある、思っとったからなんやけどなぁ。最初から二段構えのつもりやったん?」
    綾「ううん。俺は今日桃吾に全部任せるつもりだったけど、急にこいつが俺が決めるのも混ぜるって言いだした。その方が打たれにくくなるだろうからって」
    園「一気にどう来るかわからんくなったなぁ。結局、配球読むのやめて投げられる球に集中することにしたけど、打ちたい球投げてくれへんかったな」
    綾「多分だけど、俺も桃吾も、大和に一番打たれてる球を今日は投げたくなかったんだと思う」
    園「……今日が特別やってこと、もっと考えとったらよかったんやなぁ。完敗や」
    綾「今日が特別っていうか……あの打席だけは、絶対に打たれちゃいけなかったんだ。でしょ? 桃吾」
    桃「今言うてええんか?」
    綾「いいよ。そもそも、俺と大和の勝負だったんだもん」
    桃「なら言うわ。綾瀬川、おまえ、どんだけ大事な勝負でも、一人だけで考えるよりキャッチャーと一緒に組み立て考えた方がええで。どっちが決めとるかの判断もせんといけんくした方が読まれにくくなるのは間違いないやろ。次、あいつらのうちの誰と組むことになるかはしらんけど、みんなそれくらいのことはできる。後輩に教えるのめんどくさがらんと鍛えてやれ」
    綾「……大和に勝てたんだし、やるしかないよね」
    桃「ほうや」
    園「なるほど、そら打たれたらあかん打席やなぁ」
    綾「……大和なんか楽しそうじゃん」
    園「やって、これからもっと手ごわくなった綾瀬川くんと勝負できるんやろ。楽しみや。最優秀バッテリー賞もとったバッテリーは解散でも、新しい楽しみが増え……雛くんどうしたん?」
    綾「最優秀バッテリー賞の話題出すといつもこうだよ。複雑なんだって。評価されるのは嬉しいけど、円と一緒に取りたかった賞だから」
    桃「絶対来年円と一緒にとったる……」
    綾「……うん、手は抜かない。ちゃんと全力でやるから、俺が取っても恨まないでね」
    桃「アホ! 勝負の結果なんやから、敗けて恨むなら自分の実力の足りてなさや!」
    綾「……」
    園「雛くん、綾瀬川くんが『ありがとう』やって」
    綾・桃「ハァ?」

    その後はいろいろ今までの試合の思い出話をしながら、3人で食事をして帰りました。
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    iduha_dkz

    DONE綾と桃吾の高校での卒業式の話です。
    前半は1年時、後半は3年時。
    3年一緒に過ごすうちに色々理解して仲良くなり情も湧いたけど、それでも桃吾の一番は円なので綾の一番にはなれないことを最後に突きつける、一番のために他の大事なもの切る痛みを伴う別れが100通り見たくて書きました。
    最後の日を迎えて卒業式で久しぶりに会った二つ上の先輩は、綾瀬川と桃吾が二人で花束を持ってきたのを見て、はじめは落第点しか取れていなかった学生が百点満点を取った時の教師のような顔で微笑んだ。
    「二人一緒に来るとは思ってなかった」
    「元主将を心配させるなって、二年の先輩たちが二人で行けゆうてくれはったんです」
    「桃吾、それ言っちゃったら不安にさせるやつじゃない?」
    「大丈夫だよ綾瀬川。雛がどうしても俺に渡したかったって言えない照れ隠しなのはわかってるから」
    「主将ぉ!」
    「あ、ならよかったです」
    抗議の声を出した桃吾を綾瀬川はまったく気遣わず「ほら渡すんでしょ」と花束を差し出すように促す。長持ちすることを考慮してドライフラワーで作られた花束を二人から受け取り、鮮やかな花束に一度視線を落とした後、彼は自分より身長の高い後輩二人を見上げた。
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