道連れに選ばれて何度見てみたところで、決まった組み合わせが変わることはない。瀬田のチームが綾瀬川のいるチームと一回戦で当たる。それは何かイレギュラーなことでも起こらない限り、覆りようのない事実だった。
これが三年じゃなくてよかった。そう切り替えるには、先輩達からの綾瀬川がどんな投手かという質問が邪魔で、瀬田はトイレを口実に人の輪の中から抜け出す。
「綾瀬川は小五の時点で百七十センチもあって、成長が早かったから当時は有利でしたが、今は成長して差は縮まっているかもしれません」
同じく質問攻めにあっている椿には少し悪いなと思うものの、少しも信じていない可能性を慰めとして語ることを瀬田はやりたくなかった。
一通り運の悪さを嘆いたら「アレムリじゃね?」「ムリでも公式戦なんスよ」と言い合える空気に変わる。最高学年ではないのだから、割り切って立ち向かう空気に変えられるまでの少しの間、その場を離れることにしたのだ。
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