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    iduha_dkz

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    iduha_dkz

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    円桃前提綾→桃
    とても綺麗な夕焼けの曲(https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/10599.html)がどうしても片想いしてる綾に思えてきたので。
    雰囲気重視なので細かいことは考えてはいけないし、群馬なら夕立降った直後に人気の無い公園はきっとある。

    真っ赤な世界から届けた本心夕暮れに染まった遊歩道の側のせせらぎは、音までが真っ赤に染まったように、とうとうと水が流れていた。少し前まで降っていた夕立は公園の並木の葉っぱにまだ残っていて、地平線とほぼ平行する高さから差す光を乱反射させている。燃えるように真っ赤なその一画はいくつもの自然が産み出した偶然の産物で、せせらぎにかかる橋を東に渡ると赤の領域は終わって既に夜が広がっていた。
    空の群青色をそのまま写し取ったかのような深い青の中、そこにいた桃吾は街灯の光を浴びて、世界で一人だけ輝いているようで。赤い世界から見た青い世界にいる様は美しいコントラストに彩られている。桃吾への叶わない恋心を抱えた俺にはそれがとても魅力的で、どうしても視線が外せなくなっていた。
    そんな時に桃吾が俺が来たことに気がついて、こっちだと伝えるかのように手を振ってくる。
    もう何度ここで待ち合わせたのか覚えていないけれど、今までいくつも桃吾についてきた嘘が、急に傷になったかのように痛み出した。桃吾には円がいるからと綺麗な嘘で気持ちを隠してきたけれど、もうこの痛みを抱えるのは無理なのかもしれない。このまま日が暮れるまでここにとどまって世界が青一色になるのを待つよりは、今この真っ赤な光と一緒に嘘を剥がして、そして友達でいられた日々を終わりにしようか。そんな気分になって、桃吾と話せて楽しい時間も桃吾への気持ちを隠す苦しい時間も、もう全部夕闇の中に溶かしてしまえると思って橋を渡ったのに。

    予想外という顔で桃吾は驚いて、なのに俺の気持ちを、好きでいることを許してくれた。言葉にすると同時に、きつく抱きしめてしまったのに、だ。
    雲が太陽を横切って赤が陰り、夜の気配が濃くなった世界で、悪かったと桃吾は呟く。俺にこんなに近づいたらあかんかった、とも。
    そんなことない、俺は桃吾が俺のとこ来てくれて仲直りできて嬉しかったよと伝えた瞬間、太陽にかかった雲が通りすぎてまた赤い光が世界を照らす。まもなく完全に闇に染まる世界の中で、それまでの間だけでいいからと、滲む視界の中にいる桃吾にぎゅっとしがみついた。
    今だけやからなという困り声が耳に小さく届いた後は、せせらぎの音か、それとも俺の涙の音か。とにかく水滴が生み出す音だけが、静かに日が沈む世界の中に響き続けていた。

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    iduha_dkz

    DONE綾と桃吾の高校での卒業式の話です。
    前半は1年時、後半は3年時。
    3年一緒に過ごすうちに色々理解して仲良くなり情も湧いたけど、それでも桃吾の一番は円なので綾の一番にはなれないことを最後に突きつける、一番のために他の大事なもの切る痛みを伴う別れが100通り見たくて書きました。
    最後の日を迎えて卒業式で久しぶりに会った二つ上の先輩は、綾瀬川と桃吾が二人で花束を持ってきたのを見て、はじめは落第点しか取れていなかった学生が百点満点を取った時の教師のような顔で微笑んだ。
    「二人一緒に来るとは思ってなかった」
    「元主将を心配させるなって、二年の先輩たちが二人で行けゆうてくれはったんです」
    「桃吾、それ言っちゃったら不安にさせるやつじゃない?」
    「大丈夫だよ綾瀬川。雛がどうしても俺に渡したかったって言えない照れ隠しなのはわかってるから」
    「主将ぉ!」
    「あ、ならよかったです」
    抗議の声を出した桃吾を綾瀬川はまったく気遣わず「ほら渡すんでしょ」と花束を差し出すように促す。長持ちすることを考慮してドライフラワーで作られた花束を二人から受け取り、鮮やかな花束に一度視線を落とした後、彼は自分より身長の高い後輩二人を見上げた。
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    iduha_dkz

    MAIKINGぜんぜんまったく書いてる途中だけれどもこの会話出すなら今じゃない?となったのでワンシーンだけ抜き出したもの
    大学から一緒の学校になった花瀬花の、4年クリスマスの日に瀬田ちゃんが花房に告白してOKもらえたその少し後のワンシーンです

    こちらのその後的なものになります
    https://poipiku.com/7684227/9696680.html
    「花房さ、オレのせいでカノジョと別れたって前言ってたじゃん。確か一年のバレンタインデー前」
    「……よく覚えてるね」
    「その後からオレに付き合っちゃわないって言うようになったら、そら覚えてるだろ」
    「そっか」
    「やっぱオレのこと好きになったからってのが、カノジョと別れた理由なん?」
    「……そう。カノジョより瀬田ちゃんと一緒にいたいって思っちゃったのに、隠して付き合えるわけないじゃん。俺から別れ切り出した」
    「え、態度に出て振られたとかじゃなく?」
    「別の人の方が大事になっときながら、振られるくらい態度に出すなんてサイアクじゃん」
    「あーまぁ、確かに?」
    「ほんとにいい子だったんだよ……俺が野球最優先でもそれが晴くんだからって受け入れてくれててさ……でもだから、カノジョより優先したい人ができたのに、前と変わらずバレンタインのチョコもらうなんてできないじゃん」
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    iduha_dkz

    MOURNING話が進んで解釈変わる度に書き直される円桃。
    枚方シニア戦が終わったら完成します。たぶん。

    5/13追記
    13話で解釈が変わったので、この流れのままで書き換えるのはここで終了です
    今後はこちらで→https://poipiku.com/7684227/8748586.html
    枚方シニア戦の夜の円桃構えたところでピタリと静止し、そこに吸い込まれるかのように、豪速球が投げ込まれる。ミットにボールが納まる音だけが繰り返されて、U12と枚方ベアーズの試合は終了した。
    格上相手を当然のことのように抑えたエースピッチャーに対し、ある人は球威の凄さに圧倒され、ある人は球種の豊富さに目を奪われ、またある人はそのコントロールの正確さに魅了されていた。
    とにかく鮮烈だったのだ。綾瀬川次郎という才能は。
    だから、綾瀬川の活躍の裏で当然のことのように行われていた異常なことに気づいたのは一握りのよく見ていた人だけで、円が気づいたのも桃吾と常日頃から組んでいて、彼のことをよく知っていたからだ。
    枚方ベアーズ戦の桃吾のリードは、これまで円に対して行われたものより、ずっと厳しい要求がなされていた。ストライクギリギリの下半分に集められる投球は、打者にも打ちづらいが投手にだって投げにくい厳しいリードだ。
    1982