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    iduha_dkz

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    iduha_dkz

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    サークルでツイートしていた花瀬花メモです。
    椿が綾に夢中になったところから始まる花瀬花。前半小学生で椿瀬田の年代が最上学年になった後のタイミング、後半中学入ってからの話になります。

    花瀬花メモ埼玉の強豪リトルチームで小学校低学年から野球はじめた瀬田ちゃんと椿。
    数年一緒のチームでやっていくなかで、瀬田ちゃんはエースかつ強打者に、椿は4番打者かつキャプテンとチームの中心にいて、互いに信頼を寄せ合う強固な絆があったのに、U12で綾瀬川を見てから宗ちゃんは綾瀬川の話題が多くなる。
    自分もその目で見たあの才能を意識するなとは到底言えない瀬田ちゃんだけど、それはそれとして面白くはないのでチームと関係なくて理解してもらえそうな花房に連絡をとることに。
    「ピッチャーの例で綾瀬川出てくるのなに。そこはオレじゃないの?」と送ると、「直接愚痴聞く?」って言われて会うことになった。

    埼玉で誰かに会ったりしないように瀬田ちゃんが横浜まで行き、「ほら海だよー珍しいでしょ?」「夏に海水浴くらいするし!」みたいな会話しながら花房の家に案内される。部屋で2人っきりになると、「送ってきたことだけじゃないでしょ? 宗ちゃんに感じた不満、全部吐き出していきなよ」と花房が言う。
    「宗ちゃんに不満なんてないし……」
    「でも綾瀬川のことばっか話されるのはイヤなんでしょ」
    「……真面目な話とかなら、いいんだけどさ」
    「うん」
    「……東京行った時、乗り換え駅で綾瀬川見かけたって言われても、困る。何か話したならわかるけど、ほんとに見かけただけだったし」
    「綾瀬川に話しかけてないならよかったじゃん」
    「向かいのホームにいて、気づいてもらおうとしたけどムリだったんだって」
    「あー、そんな細かいことまで瀬田ちゃんに話してるんだ。宗ちゃんには大事件だったんだろうけど」
    「……綾瀬川の成績とか対策とかならこれから当たるし話すのわかるけど、そうじゃないのに綾瀬川の話出てくるのはイヤ。……なんか、宗ちゃんの心でオレらがいた場所、綾瀬川にとられたみたいな感じになる」
    「ピッチャーの例で自分のチームのピッチャーじゃなくて綾瀬川出てくるみたいに?」「……オレじゃなくても、チームの誰かなら気になんなかったのになー」
    「イヤなら宗ちゃんに言ったら? 仲いいじゃん話せるでしょ」
    「本気で言ってんの? 話して表面上変わっても、宗ちゃんの気持ちが変わらないなら意味ないじゃん」
    「えー、でも言わないとそもそも伝わらないよ」
    「……やだ。宗ちゃんに言いたくない。困らせるだけでなにんもなんないし」
    「絶対変わらないって思ってるんだ」
    「だって宗ちゃんもう綾瀬川のファンだし……なに?」
    花房が瀬田ちゃんの右手をとってきたので、瀬田ちゃんは不思議に思う。
    「瀬田ちゃんは、椿のこと大好きじゃん」
    「うん」
    「……俺、瀬田ちゃんに椿より俺のこと好きになって欲しいんだけど」
    「へ?」
    瀬田ちゃんが言われたことを噛み砕いて理解しようとしてる間に、花房は右手にそっと口づけてしまう。それで完全に混乱した瀬田ちゃんを、笑みを浮かべながらでも奥に真剣さが灯っている目でじっとみつめる花房。
    「今瀬田ちゃんは、俺のこと椿より好きになるって思う?」
    「なこと、あるわけな……」
    「あるわけないこと起こったら、絶対変わらないことなんてないって証明になるよね?」
    「……それ、屁理屈じゃん」
    「屁理屈でも希望ある方がいいじゃん」
    「……花房、おまえセッコ」
    こんな状況でそんなこと言われたらすっぱり関係切るとかできなくなるじゃんという気持ちを言外に込めて言う瀬田ちゃん。
    「本当に欲しいもの手に入れるためなら、とれる手段はとるものじゃん」
    「本当に欲しい……?」
    「うん」
    「花房がオレを?」
    「うん」
    「カノジョは?」
    「あの時は瀬田ちゃんのことまだ好きじゃなかっただけ」
    「……本気かぁ」
    とりあえず、とられたままだった手を離させる瀬田ちゃん。
    「誤解してるかもだから言っとくけど、オレが宗ちゃん好きなのは恋愛感情じゃないからな」
    「わかってるわかってる。じゃなきゃこの手段とらないって」
    「なら、宗ちゃんよりおまえのこと好きになるってどういうことだよ」
    「椿の愚痴言いに来るんじゃなくて、俺に会いに来て欲しい」
    思ってたよりもずっと真摯に伝えられて怯む瀬田ちゃん。
    「……すぐ変わんないなんてわかってるからさ、これからも椿の愚痴目的でいいからまず会って欲しいんだけど、それもイヤ?」
    「……いいよ。練習休みの日だけだと、めったに予定あわなそうだけど」
    「充分充分、これからよろしくね瀬田ちゃん」

    花房は今までもちょいちょい会わない?って軽く誘ってたのに流されてたのが、宗ちゃんの愚痴聞くって話になったら会うって二つ返事だったので、これからたまに会えるようになること自体が嬉しくて、実は瀬田ちゃんは会いたいって言われたから会ってもいいって気持ちになってたことには気づいていない。

    ーーーーー

    その後度々会うのを続けて中学生になった冬、瀬田ちゃんは椿からある相談を受ける。それはこの気持ちは恋なのかどうか判断がつかないという悩みで、相手の名前を椿は出さなかったものの瀬田ちゃんには綾瀬川のことだとわかってしまう。
    「恋なら相手とどうこうなりたいとかあると思うけどどうなの?」という瀬田ちゃんの問に「……どうにかなりたいわけじゃないな」と椿は結論出す。それに瀬田ちゃんはいっそ恋だった方があんなに意識向いてるのへ納得できたのになぁと思う。
    椿には複雑な気持ちを見せなかったけど、家に帰ってからもずっともやもやし続けて夜も寝つけず深夜に「なるはやで会いたい」と花房にメッセージ送って、それからようやく眠れた。

    翌朝起きたら花房からの着信の履歴がいくつも残ってて、それに驚いてる間にもかかってきたので出ると「瀬田ちゃんどうしたの? 何かあった?」と花房の心配そうな声が聞こえてきた。
    「あったけど、そこまでのことじゃない」
    「瀬田ちゃんがなるはやで会いたいなんて言ってきたの初めてなのに、ほんとにそこまでじゃない?」
    「……早く会いたかったけど、それは練習とかない土日の一番早い日って意味で」
    「ふーん? 学校サボるほどじゃなさそうだし、今日の放課後、東京ドームのいつものとこね」
    「サボっ…切れたし……」
    東京ドームは埼玉横浜間のだいたい中間くらいなので、外で会う時に2人がよく使ってた場所で。
    切れた通話に瀬田ちゃんは「今日の放課後とかって意味じゃない」ってメッセージ送ったんだけど、「来てね」って有無を言わさない返事が返ってきて諦めて放課後東京に出ることになった。

    いつもの待ち合わせ場所に先について、どう話そうかなぁと考えながら花房のこと待っていたら、焦っているのが隠しきれていない様子の花房が「お待たせ」ってやってきて、それで昔言われた「愚痴を言うためじゃなくて、俺に会いに来て欲しい」という言葉を瀬田ちゃんは思い出す。
    「思ってたよりすげー早くされたから待ってない」
    「あはは。で、話するなら場所移す?」
    「……話、いい」
    「へ?」
    「愚痴聞かなくていいから、しばらく一緒にいて欲しい」
    「……え、待って。それ俺が話したいから、人目のないとこに場所移していい?」
    それに瀬が頷いたのでいったん移動することに。
    近くのカラオケに移動して2人きりになったものの、花房は言いたいことまとまらない様子で口を開きかけては閉じるのを繰り返している。
    「早くしないと18時になってでなきゃいけなくなるけど」
    「……聞きたいことあるけど、瀬田ちゃん今日ヘコんでるじゃん」
    「……うん」
    「何あったかは聞いてないからわかんないけどさ、だから今瀬田ちゃんに聞いてもいいこともわかんないわけ」
    「……何あったかは、言わない。よく考えたら宗ちゃんがオレ信用して相談してくれたことだから花房に言ったらダメだし」
    「……そっかぁ」
    「変わりに1個聞いていい?」
    「なにー?」
    「おまえはオレとどうなりたいとか、どうこうしたいとか、あんの?」
    「今日の瀬田ちゃんに言ったら、何も考えずにいいよって言いそうだから言わない」
    「キスとかしてみたい?」
    「……したいけど、ちょっ」
    瀬田ちゃんが花房の顎を捕まえたので慌てるものの、結局花房は派手な抵抗はできず口づけられる。
    触れて数秒で離れる軽いキスは、花房には嬉しくても悔しくもあり、色々出かけた衝動的な言葉を全部飲み込むと、顎を捕まえられた手を捕まえ返して握りしめる。
    「瀬田ちゃんこそ、俺とどうなりたいの?」
    「……一人でいたくないのに誰とも会いたくない時、一緒にいれたら落ち着くやつ」
    「……やっぱ瀬田ちゃん相当まいってるでしょ? あの時間まで起きてたんならそんな寝れてないはずだし」
    「会いたいって送った後はすぐ寝れたし」
    「……それでも、普段より短いでしょ。6時まで寝たら?」
    「んー、じゃあ花房膝枕して」
    「はい!? あーわかったいいよするから寝なよ」
    許可もらったのでソファに乗って、瀬田ちゃんは遠慮なく膝を枕にする。下から真っ赤になってる花房を見上げながら「あと、オレが言ったことやしたことで、おまえが焦ってオレしか見なくなるの、けっこう好き」と言って目を閉じた。
    「元気になってからもっかい言ってよ。そしたら仕返しするからさ」
    そんな言葉が瀬田ちゃんが寝入る前に聞こえて、仕返しされるなら言うわけないじゃんと思いつつ、あーでもキスや膝枕の仕返しならいっかーとも思う。
    すぐに眠ってしまった瀬田ちゃんが膝にいる花房は落ち着かなくて、ほっぺたつついてみたりしたんだけど、そのうちさっきされたキスを思い出して眠る瀬田ちゃんの唇を人差し指でなぞって、そのまま自分の唇に触れさせた。花房はその後少しの間固まって、そして硬直がとれた後はもう瀬田ちゃんの顔には触らず、さらさらの髪の毛をすくくらいにとどめて時間まで過ごしました。

    「時間だよー起きて起きて」
    「後10分……」
    「俺じゃなくて中学生はカラオケ6時までってルールに言って」
    「んー」
    18時前に瀬田ちゃんを起こして、2人はそのままカラオケを出る。すっかり暗くなった中、冬のドーム周りはイルミネーションが煌めいていた。
    「せっかくだし見てかない?」
    「うん」
    平日なので人も少なく、光のトンネルをちょっとはしゃぎながらくぐったりした後、少し離れた高台に行ったら誰もいない貸し切り状態になっていた。
    「ねぇ、瀬田ちゃん。眠ってちょっとは回復した?」
    「まぁ」
    「じゃ、さっききかれた俺が瀬田ちゃんとどうなりたいか、教えてあげる」
    「俺はね、瀬田ちゃんが俺だけを見てる時間が長ければ長いほどいいなーって思ってる」
    さっき寝る前に似たようなこと言ったなと思い出した瀬田ちゃんは照れ隠しに、
    「……ならなんでイルミネーション来てんの? そっち見る分時間減んじゃん」
    と、ちょっと花房を煽ったものの、
    「俺が連れてきたとこは俺見てるカウントだからだいじょーぶ」
    と余裕の顔でいなされる。花房が予想してた通りの反応を自分がしたことを察して気恥ずかしくなる瀬田ちゃん。若干やけになりこれなら寝る前に聞いたお願いここで叶えてもいっかーとなる。
    「オレもっかい言った方がいい?」
    「瀬田ちゃんがここでキスされてもいいならね」
    「おまえがオレの行動で、焦ってオレしか見なくなるの好き。これからもずっとそうなってて」
    瀬田ちゃんの言葉が終わると同時に花房は唇を重ねた。
    柔らかく唇を食んだ後に、隙間に舌を割り込ませて口の中に入っていく。
    そこまでされると思ってなくて最初は驚いて翻弄されてた瀬田ちゃんだけど、状況を理解すると歯の裏側をたどっていた舌に自分から絡めていって花房を驚かせる。終わりどころがなくなって長くなっていたキスは、遠くから人の声が聞こえて2人同時に慌てて離れるまで続きました。
    「帰る」
    「うん。瀬田ちゃん次いつ会える」
    「クリスマス、が次練習休みなんだけど……」
    「よし、どこも混んでるからうち来て」
    「ぜーったい、そんな理由じゃないだろ」
    「イヤなら何もしないし。これまでも俺何もしなかったでしょ?」
    「本音言わないことに呆れただけで、したくないとは言ってない」
    「……今言った方がいい?」
    「今はいい。その分当日聞く」
    「わかった。じゃあ次はクリスマスね」
    次が決まったので駅まで歩いてから、別の電車に乗って別れる。

    なお、クリスマス当日最初は初々しくいちゃついてたものの、花房が瀬田ちゃん押し倒したところで上下について喧嘩になりました。

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