「花房さ、オレのせいでカノジョと別れたって前言ってたじゃん。確か一年のバレンタインデー前」
「……よく覚えてるね」
「その後からオレに付き合っちゃわないって言うようになったら、そら覚えてるだろ」
「そっか」
「やっぱオレのこと好きになったからってのが、カノジョと別れた理由なん?」
「……そう。カノジョより瀬田ちゃんと一緒にいたいって思っちゃったのに、隠して付き合えるわけないじゃん。俺から別れ切り出した」
「え、態度に出て振られたとかじゃなく?」
「別の人の方が大事になっときながら、振られるくらい態度に出すなんてサイアクじゃん」
「あーまぁ、確かに?」
「ほんとにいい子だったんだよ……俺が野球最優先でもそれが晴くんだからって受け入れてくれててさ……でもだから、カノジョより優先したい人ができたのに、前と変わらずバレンタインのチョコもらうなんてできないじゃん」
「オレがそんな魅力的でゴメンな?」
「ほんっとそ……わっ!」
「大事にする。絶対後悔させない」
「……ん。ムリになったら、早めに教えてくれないと怒るから」
「大事にするっつった」
「じゃあ、信じるからね」