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    メメモリ

    @morimeme_

    思い付きの短文とか進捗(ケツ叩き)とかをここに載せてます。

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    メメモリ

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    抱流(配探)

    ##配探

     ゴオゴオと、燃えている。怪物の雄叫びのように、もしくは雪崩れのように。地獄にかかる門がその口を開ける音とは、このようなものかもしれない。

     ノートン・キャンベルは不随意に動く四肢の筋肉と霞んで揺れる視界に阻まれながら、木の幹に全身を打ちつけて、はね返された先でまた、全身を打ちつけて、転がり回るように森を邁進した。もうどれほどの時間こうしているのか、ノートン自身にもわからない。音は鼓膜にこびりついたように絶えず聞こえていて、あの惨劇がなおもすぐ背後にあるものか、或いは幻聴なのかも、判別する術がノートンには最早なかった。両の目はとうに、かたちのあるものを何も映してはいないのだ。かすかに判る明暗だけを頼りに、光へ、月光の射す方へと、進んだ。月明かりを想わせる彼の人の面影を、まぶたの裏に想い描き、それだけを追いかけるようにして。
     だがそれも、長くは保たなかった。不意に泥濘に足を取られ、ノートンはとうとう地面に崩れ伏せた。ゼエゼエと呼吸をする度に、まるでガラスの破片を飲み込んだかのように、喉や胸に、鋭く重い痛みを感じた。

    「ア、ァ…、グ、ェッ! はっ、は、ぁぁ……あつ、ぃ…熱い…!くッるし……ェぇ、ッ! ……、…」

     ノートンの意識は、そこで途絶えた。
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    メメモリ

    MOURNING風ピとの追いかけっ子の最中、流浪の逃亡に協力する謎のグランツ族現る————!?☆

    流浪者✕風格のピンク(探配) https://privatter.net/category/22116
     ノートンは追われていた。例の新入りのポストマン、もとい風格のピンクと呼ばれている手袋をしたポストマンに……いや正確には、その彼の配達犬に、いままさに追いかけられている真っ最中である。配達犬が〝飛びかかる〟のは、ゲームでの、ハンターを相手にした時ではなかったか。勿論いまはゲームの時間ではないし、ここは実験場ゲームマップではなく居館の廊下だし、ノートンはハンターではない……そんなことは言うまでもないのだが、何にせよ、ノートンはいま風格のピンクの配達犬に牙を剥いて飛びかからんとする勢いで、追いかけられていた。
     ノートンは犬が苦手だ。とりわけ人間に飼われている犬というやつは、どいつもこいつも自分を見るなり警戒心を顕に吠え立ててきた。だからむしろ、ノートンのほうより先に犬のほうがノートンを嫌っているのである、自分に敵意を向ける存在を好ましく思えというのも無理な話だ。そも、動物に好かれるたちでないのは、ノートン・キャンベル——この荘園における〝探鉱者〟の面々におおよそ共通した性質ではあるのだが、このノートンに至っては、それだけが理由ではないかもしれない。
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