Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    くるしま

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌻 🍉 🎆 💫
    POIPOI 42

    くるしま

    ☆quiet follow

    原作雑土。話進んでない。
    原作雑渡の何考えてるか読めないけど、意外と根っこの動機はシンプルな所が好きです。
    原作土井はよく喋るイメージある。解説役が多いせいかな。

    完成できるか不安でやめようかと思った時、ここに上げてあると「もう公表してるから」と開き直れるので助かります。

    原作雑土で連載してみる02 そこから何月かが経ち、雑渡との関係は続いている。
     土井は頭を抱えていた。
     雑渡の考える事がわからない。
     元より思惑の読み辛い人物であるというのはあるが、今回の件に関しては、土井もお手上げ状態だった。
     単に内に溜まった欲を発散したいのか。
     なくはないだろう。だが、それだけでは土井を選ぶ理由としては弱く思える。
     土井を気に入っているという風でもない。会っていても、身体を重ねていても、雑渡から土井への情らしきものを感じた事はない。
     土井は雑渡に、何も渡しはしなかった。物も、情報も、恋情以外の土井の心も。
     雑渡の方に、土井から学園から何かを引き出そうとする動きを感じれば、いっそ簡単に切れた。だが身体を繋げるだけの関係性は、それ以上にも以下にもならなかった。
     それゆえに、土井は雑渡との関係を断ち切れない。明らかに有害なものならば切ればいい。だが今の所、雑渡は無害だ。
     それに、惚れた相手との性行為は、土井にとって新鮮だった。身体の相性も良かったから、尚更だ。
     会ったところで、別段、優しくされるという訳でもない。相変わらず油断ならない曲者の顔をするし、甘い言葉もない。
     それでも、顔を見ると嬉しかった。
     自分から雑渡を誘った事はないが、誘われれば、余程でなければ行ってしまう。
     土井が雑渡に向けるのは恋情であるが、雑渡に同じものを返して欲しい欲しい訳ではない。
    「それでは、また」
     雑渡は去り際、いつもそう言う。
     土井はそのたびに、次があるのかと憂鬱になる反面、次もあるのだと嬉しくなる。相反する心の動きに対応するのは、とても疲れた。
     雑渡に意図はある。それは確かなのに、何なのかが掴めない。
     ある日。
     雑渡に呼ばれた。呼ばれる場所は毎回異なるが、今回はタソガレドキに程近い場所にある小屋。
     おそらく雑渡が人目を憚かる事で使用する場所なのだろう。土井を呼ぶのだから、たいして大事なものではないだろうが。
     雑渡と会うたびに、考えることが増える。裏を読む忍者としての癖が、今回は裏目に出ている。
     毎日の授業と補習で疲れていた土井は、情事の後、雑渡の涼しい顔を見て、我慢ができなくなった。
    「どうして私に会いに来られるのです?」
     直接聞いた所で、本音など返って来るはずもない。わかっているのに、口にしてしまった。
    「突然だね」
    「口にしたのは突然でも、前々から思っていましたよ」
    「なるほど」
     不信感を露わにして尋ねる土井に、雑渡は笑っただけで、答えなかった。
    「あなたのお相手を務めたい者など、タソガレドキにはいくらでもいるでしょうに」
    「配下のものに手を出すと、面倒な事にしかならないのでね」
     理屈はわかる。雑渡は部下たちからの敬愛を一身に集めており、そんな彼らの誰かへ手を出せば、そこに不公平感と序列が生まれてしまう。
     外部の者へ手を出す理由にはなる。
     だが、土井を選ぶ理由にはならない。
    「しかし、私は忍術学園の教師です」
    「何か問題が?」
    「大有りですよ」
     敵とは言わないまでも、警戒対象であるタソガレドキの組頭。決して大きな声では言えない関係だ。バレたなら、少なくとも、信頼にヒビは入る。
     しかし土井の信頼を損ねて教師から引き摺り下ろしたいのなら、逆にこの手では弱い。
     中途半端なのだ。
    「土井先生は、自分の魅力に自信がないとみえる」
    「私は己を知っているだけです」
     閨事には慣れている。欲を発散させるのならば、それなりの相手ではあるという自覚はある。過去、この身体への執着した者もいる。
     雑渡はそうではない。彼からは、土井に対する熱を感じない。ただ、観察するような冷静な目があるだけだ。
     それは不快なものであり、惚れた相手でもなければ、土井はとっくにこの関係を終わらせていただろう。
    「あなただって、私に何も不満がない訳ではないでしょう」
    「ふむ」
     雑渡は真面目くさった顔で、考え始める。別に具体的な不満が聞きたい訳ではないのだが。
    「閨で乱暴なのはどうかと思う」
    「おや。ああいうのが、お好きなのかと思っていたのですが」
    「性交のたびに生傷を作る趣味はないな」
    「それは失礼。次は気をつけますよ」
     失言というのは、口にしてから気付くものだ。
    「そうだな、『次』からは気をつけてくれると助かる」
     次は、首にでも噛み付いてやろうか。
     物騒な考えが湧き出す程度には、腹の立つ笑みを向けられる。
    「善処しますよ。なるべくね」
     普段から生徒たちに鍛えられているというのに、言い合いで雑渡に勝てた試しはなかった。
     土井は腹立ち紛れに立ち上がる。
    「もうお帰りかな?」
    「ええ。あなたと話していると、疲れるので」
    「身体だけでも休めた方がいい」
     どの口が言っているのか。毎回、土井の身体を好き勝手して消耗させているのは、雑渡だというのに。
    「失礼します」
    「ああ。またね、土井先生」
     雑渡はやはり今日も「また」と言った。
     土井が同じ言葉を返した事はない。今日も同じだ。
     また、なんて口にしたら、雑渡に縋っているように思ってしまう。雑渡がではない。土井自身が。
     だから土井は、黙って去る事にしていたし、その日もそうした。
     雑渡の顔は見ないまま。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏❤🙏😭😭😭💖💖❤❤❤💖💖💖💗💗💗💖💖💖💖💖💕💕💕😍😍😍💘💘💘❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤😍😍😍😍😍💖💞💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    くるしま

    DONE前回のキャプションでリクエスト募集した所、リクエスト頂けたので書きました!ありがとうございます!

    リク内容「きり丸くんが作ってくれたおにぎり🍙(イナゴ&バッタ入り)を食べる土井先生を目撃した組頭」を雑土で書きました。
    条件はクリアしたつもりですが、想定と違っていたら申し訳ない…!
    スピード勝負で書いたので、色々荒いですが楽しんで頂ければ幸いですー。

    あと、土先生が虫食べてるのでご注意下さい。
    短い雑土の練習02 土井半助は、一人で山道を歩いていた。軽い身のこなしで動く彼は、見慣れた忍び装束ではなく私服だ。肩に大きめの籠を引っ掛けて、あちこち立ち止まりながら、ゆっくりと進んでいく。
     時折しゃがんでキノコを取り、籠に放り込む。何度かそうした後、土井は口を開いた。
    「さて。そろそろ飯にするか」
     独り言にしては大きい声で言ってから、土井は適当な木陰に腰を下ろす。そして、正面の木に向かって呼びかけた。
    「よければ、一緒にどうですか?」
     応えたのは、笑いを含んだ低い声だった。
    「気付いていたなら、もっと早く声を掛けてくれてもいいでしょうに」
    「そのままお返ししますよ、雑渡さん。黙って着いてくるから、何事かと思いました」
     大木の陰から現れた雑渡は、こちらも忍び装束ではなかった。大柄な身体をうまいこと隠して、土井の後を付けていたのだ。
    3125

    recommended works

    sadachbia7789

    MOURNING岐路で自然消滅かなと思っている富と遠距離になったと思っている人が無駄なきで再会して収まるところに収まる話、にしたかったけど書きたいところだけ書いて満足してしまったやつ。書き始めからこんなんかーい、と思いつつ通常営業。
    富も同じ場面にいるのですが、全然存在感が無い……
    多分「お前は医者になって婿を迎えて跡継ぎを産むんだ」って当たり前のようにレールを強いた父親を外部からぶちのめして欲しくて書いたなコレ
    進パパを説得(やや力業)する人先生父である進太郎がわざとらしいタメ息を大袈裟に吐く。
    「K先生からも言ってやってください。出会いなんぞ無いんじゃからとっとと見合いして身を固めろと」
    「………………………は?」

    岐路で自然消滅かなと思っている富と遠距離になったと思っている人が無駄なきで再会して収まるところに収まる話


    「私はこの先、富永研恵以外の女性を愛することはありません。………お嬢さんを私以外と結婚させると仰るのなら、Kの系譜が一つ消えますね」
    明らかな脅しに進太郎の方が息を飲んだ。神のごとき技術を持つ『スーパードクターK』の伝説は進太郎世代の方がよく知っている。まさかそれが現実にいようとは思わなかったが。ましてや神代は当代のKである。その血筋を絶やすのも絶やさないのも富永に血を繋ぐことを強要してきた進太郎の言葉一つという脅しがのし掛かる。
    871