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    nezuno

    @nezuno
    小説のみ
    ぱっと思いついた短いネタ、練習等を投げる予定です
    尻切れトンボとか思いついたシーンのみ投げるかもしれません
    ちゃんと完成させろ、っていうやつがあったらTwitterの方で言ってもらえたらモチベが上がります
    上がるだけです

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    nezuno

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    Twitterから再掲
    ホプユウが婚約届を役所に出しに行く話です

    #ホプユウ
    Hopscotch (Hop/Gloria ship)

    家族になる日

     迷子のウールーを追って霧深いまどろみの森をこわごわと進む。一緒に来ていたホップは見通しの悪いけもの道をどんどん走っていってしまうし、わたしとメッソンにとっては初めての野生のポケモンとのバトルの連続で、二人そろってなみだ目になっている。
     しばらく歩いてようやく、霧の向こうに見慣れた青いジャケットが浮かび上がって急いで駆け寄る。わたしの不安も知らないで、ホップはいつもどおりおひさまみたいにニカリと笑いかけてきた。
    「メッソンおつかれさま!いま元気にするぞ」
     名前を呼ばれたのに反応してボールから出てきたメッソンを抱き上げると、スプレー型のきずぐすりを使って回復してくれた。ホップは自分のウールーもいるし、ハロンタウンや近所で困っているポケモンをみつけるとすぐ助けに行くのでバッグのなかにたくさん常備しているのだろう。これからはわたしも使うことになるのだし、使い方を覚えておこうと手元をのぞき込む。
     先程のバトルで野生のココガラに突っつかれた擦り傷は、みるみるうちにきれいになって、どこが傷ついていたのかわからないくらいになった。ポケモンって不思議だ。
    「ほら、もう大丈夫だろ」
     ホップが患部を撫でると今にも泣きそうだったメッソンはあっという間に笑顔になってホップの手にすりすりと頬を寄せる。
    「むぅ……、なんかホップ、トレーナーのわたしよりもメッソンと仲良しみたい」
     ホップは追いかけてきたわたしじゃなくて真っ先にメッソンに声をかけるし、メッソンはメッソンでホップに抱っこされて嬉しそうだし、なんだかもやもやした気持ちになってしまう。
    「メッソンはユウリのパートナーだけど、その前はアニキのところにいたポケモンだろ だったらオレにとっても家族みたいなもんだからな」
     そう言ってホップが笑うと腕のなかのメッソンもまんざらでもない表情。「自分達のことも忘れてくれるな」とでもいうように、足元に居たホップのウールーとヒバニーも「ぐめ」「ヒバ」と鳴き声を上げる。
    「う~ いいな、いいな、わたしもホップと家族がいい 仲間に入れてよぅ」
    「うわ、なに怒ってるんだよ。ユウリとメッソンはこれからたくさん一緒に過ごしてバトルして仲良くなるんだろ やきもちやくなよ そんなことより迷子のウールーを探さないと」
     メッソンをわたしの腕のなかに返すと、またあっというまに森の置くに走り去ってしまう。ホップはいつも足が速いけど、こんな草や石ころがいっぱいのでこぼこ道ですらあっという間に駆け抜けてしまうからびっくりする。
    「まってったら」
     わたしもメッソンと一緒に霧の中を駆け出した。



    ◇◆◇



    「……ってこともあったよな。あの後、ザマゼンタの幻に遭遇したり、アニキにしかられたりでうやむやになったけど」
    「ホップってば、まだそんなことおぼえてたの」
    「そりゃ、あんなインパクトあるの忘れないだろ」
    「ザマゼンタのことはそうだけど、わたしのワガママまでそんなにはっきり……」
     ここは、ハロン・ブラッシータウン合同町役場。待合席で順番がくるまでの間、思い出話に花を咲かせていたら、思わぬ恥かしい記憶を掘り起こされてしまった。
    「番号札八番でお待ちのかた」
     受付の職員さんが事務的に読みあげたのがわたしが握り締めていた番号だと気付いて、ここにきた理由を思い出す。バトルコートに踏み出す前よりも緊張して、その場で固まっているとホップがわたしの手をそっと両手で包む。
    「ユウリ、行こう」
    「……うん」
     手をつないであるくほんの数メートルがとてつもなく長く感じたけど、ホップが横にいてくれるので一歩踏み出すたびに鼓動が落ち着いていく気がする。

    「「お願いします」」

     受付に差し出してしまえば、たった一枚の書類。一番大きな二つの枠には、それぞれホップとわたしの名前が収まっている。証人は、ここにくるまでにたくさんの人にお世話になったから二人でたくさん考えた結果、旅の終わりにまどろみの森の祭壇でホップが新しい夢を見つけたときに立ち会ってくれたダンデさんとソニアさんにお願いすることに決めた。
    「……確かに受理しました。おめでとうございます。こちら新しい戸籍証明です」
     職員さんが書類の記入漏れがないか確認しるしばらくの沈黙の後に、またペラリとした書類を手渡されて、終わり。あんなにも緊張していたのにほんとうにあっというまに終わってしまった。
     そのまま二人で役場の外に出て大きく深呼吸する。
    「……で、ユウリ、家族になった感想は」
    「うーん、なんかまだ実感わかないかも」
    「ハハ、実はオレも」
    「それにしても、昔のわたし、勢いに任せてすごいこと言ってたなぁ」
    「本当になったからオッケーだろ。それにユウリってわりといつもそういうところあるし」
    「えっ、ほかにもその手のエピソードあったっけ 教えてよ」
    「どうしようかな、今後の夫婦生活を円満に進めるための切り札としてとっておきたいところだぞ」
    「なにそれいじわるだよぅ……お手柔らかにおねがいね、ダンナさん」
    「もちろんだぞ、奥さん」
     頬を寄せ合って笑いあっていると、腰に下げていたモンスターボールがウズウズと揺れた。わたしのインテレオン、ホップのバイウールーとエースバーン、他の手持ちたちも一斉にボールから出てきて、嬉しそうに鳴き声を上げる。おめでとう、って言ってくれてることは、言葉が通じなくてもちゃんとわかった。
    「もちろんみんなもいっしょに家族だからな」
     夫婦になった実感はまだまだ、だけど、見慣れた町がなんだかきらきらして見える気がする。新しい日々がこれから始まる。
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    Replies from the creator

    nezuno

    DONE2021年一作目
    とくに季節ネタではないです
    食いしん坊ユウリちゃんのよくわからない悩み事に付き合ってくれるホップのお話です
    推しポケモンと推しカプを並べたかったやつです
    「こんなことホップにしか頼めないの……!」
     バトル以外では普段マイペースなユウリが珍しく差し迫った表情でそんな言葉を口にしてすがってくるのを断る理由などあるわけがなかった。ライバルが困ってるとき力を貸すのは当然だぞ、なんて耳触りの良い言葉で二つ返事したものの、内心はユウリが困ったときに最初に頼るのがアニキをはじめとするリーグ委員会の大人たちや、他のトレーナーの誰でもなくオレだという事実に安堵とほんの少しの優越感を感じていた。
     だからどんな頼み事だって聞くつもりでユウリに言われるままに研究所の表に出て目にしたのは、彼女の苦悩の表情とは裏腹にのんきな光景だった。
    「ヤドンか。こっちは、ガラル以外の地方で見られる姿だな」
     生息地域ごとの環境や生態系の違いによって同じ種のポケモンでも姿やタイプが変化する、学術的にはリージョンフォームと呼ばれてる現象だ。ガラル以外の地域でみられるヤドンは──個体数でいえばこちがのほうが一般的な姿と考えられるだろう──のぼせたみたいな全身ピンク色で、しっぽの先だけが白い。ガラルのヤドンは額から頭部にかけて、それからしっぽがカレーみたいな黄色になっている。この 3326

    nezuno

    DONEポケマスにユウリちゃん実装決定後、ガチャ祈願でかいたポケマス時空のふわっとしたお話
    ユウリちゃんとメイちゃんがお話しているだけですが、ホプユウ前提
    カプというほどの絡みはないのでタグ無しで
    身じろぎをした拍子にベッド……ではなく、硬いベンチから転げ落ちそうになって慌てて飛び起きる。
    『ようこそポケモントレーナー、そしてバディポケモンのみなさん。ここは人工島パシオ』
     頭の上のスピーカーが繰り返すアナウンスでここが何処だったのかようやく思い出した。
     そうだわたし、ホップと一緒に水上バスに乗ってパシオに向かっていたんだった。座席に並んで二人で一冊のガイドブックを覗き込み、どこに行こうか、どんなトレーナーに会えるかな、なんてお喋りに夢中になっているうちに眠ってしまったんだろう。あたりの様子をみるに、ここはパシオの船着場のようだ。でも、どうにもバスから降りた記憶がないし、ホップともはぐれてしまったようだ。腰掛けたベンチの小脇にはさっきまで枕がわりにしていた荷物で膨れ上がったお気に入りのレザーボストン。足元には呆れたように「わふ」とため息を溢すザシアン。きっと眠りこけているわたしの代わりに荷物の番をしていてくれたのだろう。
     左手に妙な違和感がある気がして、空に広げた手をかざしてぼんやりと眺めてみるけどいまひとつ思い当たらない。
    「こんにちは、ポケモントレーナーさん! あなたはど 2361

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