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    SakuraK_0414

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    SakuraK_0414

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    これも譲テツアンソロの没原稿(書き途中で没にした)です。古典文学・オペラのパロシリーズの3本目として考えてた椿姫。いずれ完成させたい。
    なんてことないモブや一般人にやりこめられるすごい人、みたいな構図が好きだなと思った。

    #譲テツ

    椿姫トラビアート:汝、道を踏み外さず「ドクターが元気そうでよかったわ。ほら、私たちお互いいい歳でしょう」
     風が吹き込むベランダの傍のソファに座った老婦人が、少し離れた棚の上に飾られた老紳士の写真に目をやりながら日本語でカラカラと笑った。このあいだ古希になったばかりの患者はその年齢のわりに言動も恰好も若々しく、主治医は呆れたように「お互いな」と意地悪く笑う。華やかだが上品な、リゾート風の花柄の壁紙のこのリビングルームが(もう今はこの肩書を使うことは無いのだが)闇医者には居心地が悪かったのもある。それを知ってか知らずか、老婦人は主治医を手招きして隣の藤の椅子に座らせた。このアメリカ西海岸の海沿いの街に良く似合う部屋だった。
    「これ、ドクターにあげるわ」
     そういうと、老婦人は赤いネイルとヒスイの指輪で飾られた手で2枚の紙きれをガラステーブルの上に出した。
     紙切れの中央には演目名には和訳すれば「椿姫」とあり、その下にはニューヨークの大ホールの名前が印字してあるのを見つけ、ドクターテツは方眉を上げた。
    「特等席を無償で譲るって?」
    「だってこの日に恋人が遊びに来てくれるって言うんだもの。オペラはいつでも見られるけど、恋人との逢瀬はそうもいかないわ」
     恋多き女は意味ありげに笑って首を横に振る。飾り棚の老紳士の写真の隣にはつい最近撮ったばかりの四十代の男とのツーショット写真が飾ってある。それが患者の新しい恋人らしかった。
    「……ま、生活に張りがあるのは良いことか」
    「それはドクターもでしょ? ハマーを運転させてるんだっけ?」
     お見通しとばかりに年上の女が意味ありげに笑った。
     1990年代初頭の日本では暴対法の施行で勢力を削がれてそのまま幹部の高齢化と死などを経て解散となったヤクザは多いが、この女はそんなヤクザの組長の愛人だった。闇医者だったドクターテツこと真田徹郎とこの女はそのころからの知り合いだ。しかし昔から抜け目ない女だったが、まさか老後の生活に困らないだけの金を引っ提げてアメリカに移住しているとは思わなかった。
    「……普通は」
     ドクターテツが小さく舌打ちする。
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    SakuraK_0414

    DOODLE365日いつでもバニーを書いてよろしい、と神は仰せになった。なってない。でも今年はウサギ年だし9月はお月見だしそうじゃなくてもバニーを書いて良い。ということで、以前書いたバニーの譲テツ也宮添えの続きです。バニー衣装着るのが恥ずかしくてへにゃへにゃになってる自分の魅力に無自覚な闇医者。
    ちなみにバニースーツ餅つき、というのも二次イラスト的には可愛らしさと色気とポップさがあって良いなと思う。
    You're Bunny.「いや……これは、キツいだろ」
     さすがに、とドクターTETSUこと真田徹郎は独り言ちてそこらへんに置いていたカーディガンを羽織った。誰も見てないとはいえ、さすがにいたたまれない。特注品のバカみたいに大きな衣装一式が自分の体にぴったり沿うように作られているのもいたたまれない。衣装一式の入っていた箱に同封されたパンフレットの中で凄艶に笑うバニースーツを纏った美青年の姿が目に入って、もっといたたまれなくなる。
    (今より30若ければ、とは思いはしねぇが……)
     海千山千、天下の闇医者ドクターテツは危ない橋を渡りもしたし、死にかけたこともある。人生における大概の苦難と規格外の苦難を大方乗り越え、もう並大抵のことでは動じることも無い。
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    SakuraK_0414

    DOODLE譲→テツで、譲介くんがクエイドに行くぞ!となる話。細かいところはもう色々捏造してます。時間とか季節のこととかめちゃくちゃです。朝倉先生が診療所に来た頃のイメージで、遅れてきた七夕ネタでもあります。
    コンビニ店内でかかってる曲はモー娘。22の「Chu Chu Chu 僕らの未来」、譲介君がこの歌詞僕のことだ…ってなってるのはモー娘。19の「青春Night」です。参考しながら読むと楽しいかもしれない
    青春Nightに僕らの未来「……モー娘の新曲だな」
     コンビニの店内、隣に立つ譲介が、あの和久井譲介が呟いたので黒須一也はぎょっとして彼を見つめた。店内には確かに女子グループアイドルの楽曲が流れているが、こんな難しそうな曲、しかもワンフレーズを聞いただけでそれが分かったのか、と一也はますます目を見開く。
    「……なんだよ」
     じろりと譲介が睨んだ。あのハマー乗りの闇医者そっくりの長い前髪の合間から覗く左目の迫力に気圧されて一也は黙り込む。
    「お前だってモー娘。くらい知ってるだろ、僕らは世代だし、どこ行ったって流れてたし、ラブマシーンとか」
    「あ、いや、その、譲介はアイドルとか興味ない、というか好きじゃないと思ってたから」
    「別に興味はないし好きでもないぞ」
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