likeとloveは紙一重「ルメ姉!」
その駆け寄る姿に毎日元気を貰ってるのはあたしだ。
仕事をする時は完璧だが、どこか抜けている所がある“ソイツ”にいつも助けて貰ったのを覚えてる。
あたしが過労で倒れかけた時、追い詰められてた時、敵組織に殺されかけた時だって、いつも、いつも助けてくれたのは他でもない、アイツただ1人だった。
いつの日からか、自分は恋をしていたのだ、優しくて、自分にだけ見せてくれた、あの表情。
初めて会った時も良くしてくれた、まだ自分が部下の立ち位置にいた時、死体を見て吐いてたあたしを介抱してくれたのだって、アイツだったんだ。特別な感情を抱いたって無理はないと思う。
なんなら、少し私に気があるんじゃないか?とまで思ってしまうのだ、いや、期待してたの方が正しいか
_その恋は実らない物だったのだから
嫌だった、出来れば見たくなかった。
見たら、砕け散ってしまいそうな程の衝撃を与える物だったから。
楽しそうに話してる、あたしと話す時と同じ表情、
近い距離感、微笑んだり笑ったりしている愉快な表情
あたしだけ、と勝手に思ってた自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。
自分に気がある?そんな訳ないじゃないか、そうだよ。
「璦は優しいから、皆に平等なんだよ。」
口にしたら、説得力が増した、自分の言葉じゃない様に感じたが、そんな事も考えれる程余裕なんてなかった。
とにかく、見たくない“ソレ”の記憶を取り消すかの様に、全力で走った
忘れろ、そんな感情、そんな物
恋なんてする方がおかしいんだ。
恋は、するものでは無い。
自分の勝手な妄想で出来上がってるのが大半だから
ほぼ何も見えない真っ黒なサングラスをかけても、心までは黒く染めれない。
黒く、隠せない。
遠い所まで来た、組織の敷地内だが、ここは人が殆ど通らない、端の所だ。
あまりない体力を使い切ったのか、走りきった瞬間に息が上がった、苦しいが、本当に苦しいのは自分の心だ。
惨めで、思い込みの強い、この思考
今すぐ消えてしまいたかった、涙が出た
涙なんて止めてしまいたかった、止めないと本当に失恋したようになってしまうから
一方通行の恋が、愛が、溶けていく、涙と共に、消えていく、否、消えてしまえ。そんな物
自分には、ルメリには必要ない物だ。
それでも涙は止まらなかった、止められなかった
「……恋なんて、するものじゃないな、」
か細い声でやっと言えた一言だった
俯く顔、丸い背中はとても小さくて、寂しかった。