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    UchiyosoLove_

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    UchiyosoLove_

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    自分でも書いててよくわかんなかったです フィーリングで受け取って…………………………………………

    雷と、カフェ・ルツェルンで少女らしき人物が紅茶を啜る。
    幼い見た目だが、そこには確かな貫禄があり、所作もとても綺麗だ。
    瞳には花の様な特殊な模様が入っており、瞬きをするソレは不思議な雰囲気さえ醸し出す。
    コト、と静かにティーカップを置き、下を向いて瞬きを2つ。すぐに目を上に向けると、1人の女性が立ち止まっていた。

    「やぁ、久しぶりじゃないか。」

    少女の様な見た目をしている彼女は、少女とは正反対の口調をしていた。







    △△△

    「お待たせしました。」
    カタン、と3層のケーキスタンドが置かれる。
    ケーキ、マカロン、それにクッキー。
    1人で食べ切れるかどうかも怪しい量がそこには乗っていた。
    「…これを1人で?」
    「いいや?君が来ると確信していたからね。私の奢りさ。」
    少女が二回り程背丈が伸びた女性にご馳走をする姿は、いかにも奇妙。と言った感じだった。
    「そう言えば、その“目”が関係していると昔に言っていたねェ。」
    そんな世間話の様なものをしながら紅茶に角砂糖をぽと、と1つ入れる。
    「私と同じ雷元素は特にね、フォンテーヌ内にいるなら何処にいるかはわかるかな。」
    「本当に、敵に回したら厄介だねぇ。」
    「はは、褒め言葉として受け取っておくとしようか。」

    少女、ここからはカトリーネと呼ぶ事にする。
    カトリーネは、その“花の様な目”にこそ謎がある人物だ。
    本人曰く「元素視覚の進化版。」らしいが、その他にも力があるのかは知る由も無い。



    「それにしても、背丈が凄く大きくなったじゃないか、私と初めて会った時は私より一回り位小さかったのに。」
    「貴方も少し小さくなったんじゃないかい?もう少し顔が大人びていた気がするよ。」
    その二人の“昔”はどれ位の年月が経っているのだろうか。笑顔が奇妙な少女と、笑顔に何か隠れている女性の会話は、一般人にとって夢の様な不思議な感覚に陥りさせる。

    おっと、もう1人の紹介が遅れていたようだ。
    背丈が大きい彼女の名は普。
    職業は商人と言う事にしよう。今は用事でフォンテーヌに来ている、という所か。
    カトリーネと同じく、謎が多い人物でもある。


    「そう言えば、弟子をとったのだっけ?手紙、しっかりと読ませて貰ったよ。」
    「おや、読んでくれないと思っていたよ。そうだね、弟子としては二人目だ。」
    「……失うのが怖いって?」
    「…君は本当に勘が良いね。そう言うならば君の事も惜しいと思うよ。神の目の代償は大きい。」
    長命種“の筈”の普だが、100年と少しで亡くなる事は決まっている。
    雷元素の運命、と言うべきか。強さを手に入れる代わりの代償はあまりにも皮肉な物である。
    寿命の代わりに失う命の事を「阿呆」だとか「馬鹿野郎」だとか、陰口を言う奴はごまんといる。
    寿命の使い方等、自由だと言うのに。
    長命種のカトリーネは、摩耗するまで死ねない。
    彼女はその死に様達を「見る事」で、神の目の代価を支払っているのだろうか。見届ける者も、また酷である。
    「神の目を持った運命さ、仕方ない。稲妻に居るあの子には少し申し訳ないけれどねぇ。」
    「あの子…、そう言えば住ませて貰っているのだっけ?確か…。」
    「紗理谷君と言うんだ。彼女も長命種でね。知識に貪欲だから貴方の事もきっと気になるだろうさ。」
    「知識、ね。面白い子だ。是非会ってみたいものだね。」
    紗理谷、とは何者なのか。
    言うならば、彼女は稲妻版「知識の缶詰」と言えるだろう。
    知識を蓄えることが最高の行為だと思っている彼女は、口上手な普に関心を持ち、知識を提供して貰っている、という事だ。
    その代わりに普の宿を提供する、という事で、神出鬼没な彼女は珍しく紗理谷の家に住まわせて貰っている、と言う限りである。
    「あの子は聡明でね。その代わりにワタシの知識に貪欲で、……執着を感じるくらいさ。」
    「あはは、君にはそれ位縛られるのがお似合いと言うものだよ。この目が無かったら神出鬼没な君に出会えるチャンスなどあまり無かっただろうし。」
    元々稲妻に来る前は七国を彷徨いてやりくりしていた彼女は、噂は聞くが肝心の本人が居ないという事がとても多い人物で、見つけられたら奇跡、と一部の人の間で言われていた。


    「それに……。」

    「その知識に執着してる子に“執着”しているのも、君なんじゃないか?」
    黒い感情は、必ずしも一人だけにあるとは限らず、執着が執着を生んでいるパターンは珍しくも何ともない。
    「おっと、図星を突かれてしまったよ。」
    普の口は笑っていたが、目はお世辞にも笑っている、と言う風には見えない。
    蛍光色のその目が、光っている様に見える。
    おぞましくて、しかし魅力的な「宝箱」の様に、彼女は「惹き付け」「惹き付けられる」
    端的に言うのなら、蟻地獄の様に、どんどんと。









    △△△
    「よく食べたね、私も少しお腹が満たされたかな。」
    「ご馳走様。手紙は偶に送るとしようか。それでチャラだ、良いだろう?」
    「君は本当に貸しが苦手だね、いいよ。そうしようか。」
    それじゃあ、迎えがあるからね。とカトリーネは去っていった。
    「…帰ったらあの子に伝えてやろうかねェ。」
    くつくつと笑って、背を向けて歩く。


    _彼女は雷の様に爪痕を残して去っていく。
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