春のバカンス真っ赤な顔、おぼつかない呼吸、潤んだ目が乞うようにおれを見つめている。
「いちまつ、たすけて……も、げんかい……!」
好きなヤツからこんなに必死に縋られたら、そりゃあいろんな意味でドキドキするだろう。
はくはくと呼吸を繰り返す唇が濡れて光っているのが目に毒だ。
「ふぁっ」
「っ、変な声出すなって」
「らってぇ」
ぐしゅぐしゅと鼻を啜りながら、おれの肩に縋りつく指に力がこもる。
「ふぁ、っあ……! も、らめ……っ」
カラ松はぎゅっと目を瞑るとその体を震わせた。
「……っっくしょい! ぶえっくしゅ! えくしゅ!! ……ぇっ」
「あーあーあー」
盛大なくしゃみと共に鼻水やら唾液やらで汚された服を見下ろし、おれはため息をついた。
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