マル暴の昼飯 その1 マル暴の昼飯その1
組織犯罪対策第四課(通称マル暴)の警部補である馬渕修は歌舞伎町の往来を大きな欠伸を漏らしながら闊歩していた。
「いやぁ、久々に粉もんとか食べたいなぁ~。俺、モダン焼きが好きなんですわ」
真後ろから聞こえてきた暢気な声に馬渕は露骨に嫌な顔をする。マル暴の巡査部長である五十嵐陽芽は四六時中、馬渕の背後を金魚の糞のように着いて回っていた。全く、騒がしい昼休憩になりそうだ。
「モダン焼きって広島焼きと何が違ぇんだ?」
「あれ、前にも言わんかったっけ。微妙に作り方が違うんですわ。広島焼きは層になってるけどモダン焼きは…」
「興味ねぇな」
「馬渕さんが言ったんでしょ?最後まで聞いてくださいや。あっ、そこの二人乗り危ないで」
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