奇跡が間に合った日 クリスマスイブ前日。
パンドロは不満を口にしながら帰宅し、恋人のフォガートからスマホに届いたメッセージを読み返す。ため息を吐いてソファーにスマホを放り投げるとチューハイの缶を手にした。
『飛行機が大雪で飛ばず必死に代替便の手配をしているけれど、いつ帰れるかはまだ分からないんだ……』
フォガートからの切実なメッセージにパンドロの胸がキュッと締め付けられる。
1週間前の朝、出張で隣国イルシオンへ向かったフォガート。クリスマスイブ前日に帰国する予定だったが、突然の大雪によって帰りの飛行機が欠航になってしまったのだ。
「大雪で飛行機が飛ばないとかマジかよ、ありえねー」
その言葉も一体何度口にしたことか。酒が入っているのもあり、どんどん不幸全開モードになってゆくパンドロ。恋人フォガートがいない今、パンドロは酒の力を借りて愚痴大会を開催することにした。
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