Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    gonzabu_low

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 7

    gonzabu_low

    ☆quiet follow

    シャニマス 斑鳩ルカとマネージャー(自我強め)

    スーパー行って飯作って食うはなし 急に終わる受動喫煙状態でシャニマスをやっていた時、斑鳩ルカさん加入との噂を聞いてジエピを読んだらルカマネに狂わされた時に書いたもの 色々間違ってます

    撮影の仕事を完璧にやり遂げ、その後もレッスンをしていたルカを、マネージャーは半ば無理やり車に乗せて帰路についていた。

    後部座席にはあからさまに不機嫌な彼女がいる。
    マネージャーは適当に流していたラジオを消し、車内には走行音だけがほんのりと響いた。

    時刻は既に20時を回っていた。
    ルカは明日も早くから雑誌の取材が入っている。
    とにかく腹に何か入れて休ませなければ。
    ふと、浮かんだ疑問をそのまま口にした。

    「ルカってさ、家で自炊する方だっけ?」
    「あ……?」

    突然なんだ、と言いたげな彼女をルームミラーで確認し、言葉を続ける。

    「いや、朝早い時とかお昼は結構事務所で用意することが多いじゃない?夜はなるべく早く帰してるし……まあ今日はそうじゃなかったみたいだけど」

    そう言うとふんっとルカは顔を背ける。
    今日は急な予定が入り、彼女の撮影に同行出来なかった。
    基本的に夕方以降に終わる仕事の時は直帰させるようにしているが、今日は自分がいないのをいいことに事務所に戻って居残りしていたのだろう。
    彼女は必要以上にストイックなレッスンを普段から自分に課している。
    休める時には休んでほしいのが本音だ。

    「だからさ、夜はどうしてるのかなって思っただけ 気に触ったらごめんね」
    「…………」
    「出前とか?あ、今はウーバーとかのが主流かな」
    便利な時代になったよねえと1人でしみじみしていると、ぽつりと彼女が呟く。

    「ゼリーとか…」
    「え?」
    「栄養補給のゼリーとかあんだろ、あれとコンビニのサラダとか食ってる」
    「は、え、それだけ?」
    「ビタミンのサプリとかも飲んでる」
    「炭水化物とか…たんぱく質は?」
    「…プロテインも飲む 」
    「そうじゃなくて………」

    なんてことだ、朝と昼はしっかり栄養を摂っている(ように見えていた)から油断していた。
    ルカの現在の体重は健康的とはとても言えるものではなかった。
    もちろん人を魅せる仕事だから、人それぞれに美しい体型というのがあると思うが。
    それにしても彼女は細かった。

    「あのねルカ、今はまだ若いから良いかもしれないけどそんな食生活してたら肌もボロボロになるし骨だってスカスカになっちゃうよ」
    「………」
    「いつも言ってるでしょ、自分を大切にしないとファンのみんなが悲しむんだよ……と言ってもこれは私の責任でもあるよね。ごめん、今のナシ」
    「は?マネージャーには関係ないだろ」
    「あるよ!大アリだよ 気づけなくてごめん」
    「…………」

    マネージャーに謝られると弱かった。
    誰よりも自分のことを大切に思っているのを知っていたから、ルカはもうそれ以上何も言わずに、ただ窓からの景色を眺めていた。

    「あのさ、迷惑じゃなければ今からご飯作ってもいい?」
    「……あんたが?」
    「うん、まあたいしたもの作れないけどさ」

    スーパー寄ってくねと、返事を聞く前に複合施設の駐車場へ車を走らせる。
    なにか安売りしてるかなあと、駐車券を取りながらマネージャーはうきうき話していた。

    「…楽しんでね?」
    「そりゃあ、大事な人にご飯作るんだから張り切っちゃうでしょ!」
    「あっそ………」

    入口に近い場所に車を停め、ルカは目立たないような変装をして入店する。
    流石に閉店間際のスーパーは人もまばらで、割引シールを貼る店員がポツポツと目立った。

    「あ、鶏肉が安いよ 胸肉のがいいかな」
    「なんでもいい」
    「それが一番困るんだけど………」

    そう言いながらも、割と迷いがなく次々とカートに商品を入れている。

    「……なあ、多くね?」
    「ん?うん、多めに作っておけば好きな時に食べられるでしょ?」
    「………そんな食えねえ、かも」
    「冷凍しときゃいいよ!」

    もう何か言うのも面倒くさくなって、諦めたようにルカはマネージャーの後を着いていく。

    結局買ったものは、葉物野菜や肉、パックご飯や冷凍食品など、特別なものは何も無かった

    「冷凍庫入んねえよ」
    「入らなくなるまで食料溜め込まないでよ……」

    ルカは自室のマンションの鍵を開け、大きな荷物を持っているマネージャーを先に家に入れた。
    お邪魔します、と何度も来ているのに彼女はいつも礼儀正しく挨拶をする。
    こちらも確実に戸締りをし、小さくただいまと呟いた。
    誰も返事をするものはいないのに、いなかったのに。
    「おかえり」
    声が降ってきた方を見上げる。
    今日だけは、違った。

    「おかえり、ルカ」
    「………ん」
    「人におかえりって言うの久しぶりだなー!」
    「へー……」
    「え?何その顔、なんか言いたげな顔何?」
    「別に…」
    「何?!ちょっとどういう感情なの?!」

    先に風呂に入って温まったらどうだと言われ、ルカは久しぶりに湯船に浸かっていた。
    いつもはシャワーだけだが、ゆっくりお湯に入って手足を伸ばすとやはり気持ちがいい。
    少しうとうとしてしまうような心地のまま、ルームウェアに着替えてリビングに戻る。

    「あがったけど…」
    「おっナイスタイミング〜」

    そうして初めて、食欲を誘われる匂いに気づくり
    全く使っていなかったテーブルが食器でいっぱいになっている。
    野菜たっぷりの味噌汁に鶏胸肉のソテー、ごぼうと蓮根のきんぴらがそれぞれ小鉢に、そしてふわっと甘い香りがする卵焼きと、控えめに盛られたご飯。
    例えるならいつもの食事、という感じなのだろうか。
    ありふれたもので溢れていた。


    「ほんとにたいしたものじゃなくて悪いね」
    「いや…あんたあの時間でこんだけ作ったのかよ……凄いな……」
    「まあ伊達に一人暮らし長くないからね……」

    食べよ!と言われ2人で向き合って食卓につく。
    見慣れた自分の部屋でこんな事が起こっているなんて、不思議だ。
    いただきます、と手を合わせて箸を手に取った。

    味噌汁をひと口飲み、お腹があたたまるのを感じる
    鶏肉のソテーは胸肉なのに柔らかく処理されており、生姜の効いソースが後を引く美味しさだった。
    手作りのきんぴらなんて、本当に久しぶりに食べた気がする。
    甘辛い味付けは、気取ってなくてほっとする味だ。
    自然にご飯が進んでいく。

    そして卵焼き。
    お菓子くらい甘く味付けされた卵焼きは、最初は驚いたものの、ふんわりとした気分にさせられる。
    「あ、卵焼きの味付け好みじゃなかった?うちの味にしちゃったから…」
    「ううん…美味しい。甘い卵焼きってはじめて食べた」
    「うちはいっつもこれだったんだよね〜!遠足の時も運動会の時も、お弁当の時は絶対この甘い卵焼きが入っててさ」
    大好きだったんだと笑うマネージャーを見て、ルカは心からこの食事を楽しんでいる自分に気づいた。
    「…美味しいよ、全部」
    「ほんとに?!良かった〜……多めに作ってあるからあっためて食べるんだよ」
    「………ん」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator