雨ハックのテストをしようと俺たちはわざわざ人気のない公園に来ていた。
データも取れたし、改善点も見つかった。
恋人のウィットは人気のない公園にはしゃいでいる。
そんな時バケツをひっくり返したように降り出した雨。
俺たちが屋根のある場所へ着いた時には完全なる濡れ鼠だった。
「あーぁ、俺の一張羅が台無しだぜ。髪もせっかくセットしたっていうのによ〜」
頬を膨らませるウィットを横目に俺は濡れたシャツの裾を絞れば出てくる水分。
参ったな、ハンカチではどうにもならない。
なんて頭を悩ませていたら布地の擦れる音がして反射でそちらを見やれば、恋人が今にもシャツを脱がんとするところだった。
というかほぼ半裸である。
「っ、ばか!何やってる!?」
均等に割れた美しい腹筋にむちりとした胸元が見えてしまうところでストップしたウィットはというと、きょとんと小首を傾げている。
「何って…このままじゃ風邪ひくだろ?だから脱いでんだよ」
「ここは外だぞ?やめておけ!」
「俺とお前しかいねーよ。気にするな!」
ニカッと笑ってとうとう上半身裸になったウィットに俺は何となく顔を背けた。
そんなことはつゆ知らず、今度はベルトのカチャカチャという金属音が聞こえてきてぎょっとする。
思った通りウィットはズボンを脱ごうとしているところだった。
「だから!なんで脱ぐんだ!」
「だからー、濡れてるのが嫌だからだ。お前も脱げ、濡れた服って気持ち悪いだろ?」
「何度も言うがここは外だ。早く服を着ろ」
「何度も言うがここには誰にもいないだr」
「俺がいるだろうが!!!」
思わず叫んでしまって静まり返る空間、雨の音。
何かに気がついたウィットはにやりと笑った。
「クリプちゃん…もしかして、照れてる?」
顔が熱くなるのを見られるのが嫌で片手で口元を隠すがきっとばればれだ。
「照れてなどいない!ただ、抑えられなくなるだけだ!」
再び訪れる沈黙。
そして今度はぼふりとウィットの顔が真っ赤になった。
「クリプちゃんってばえっち!俺の裸なんて何回でも見てきただろ!?」
「うるさい!好きな奴に目の前で無防備に服を脱がれてもみろ!襲いたくなるのが普通だ!」
「開き直ってんじゃねぇ!さっきから恥ずかしいんだよ!」
「いいからお前は服を着ろ!でないと…」
眼光鋭く睨めば、ウィットは急いで服を身につけていく。
「ったくもー、クリプちゃんは恥ずがり屋さんだからなー、しゃーねーなぁー」
「この場で襲ってもいいんだぞ?」
「じょ、じょーだんだって!俺様の可愛い冗談!だろ?」
「かわいくない。帰ったら襲う」
いつの間にか雨は止んで空に虹までかかっている。
背後でぎゃーぎゃーウィットが騒いでいるが、この後の甘い時間を考えて俺は、晴れた笑みをこっそりみせた。