目が眩みそうな緑色だ。不思議な液体であると感じたのはその次で、ホンルはあんなもの厄介で嫌だと眉を寄せた。
便利だとしてもアレを使いたいか。己に問いかけて天を仰ぐ。直接注入するなんて、まず痛そうだ。注射を打つとは比べ物になりそうにない。ぶるぶると顔を振るう。
だけど――それで彼のさが背負う痛みを軽減できるのであれば。好奇心が沸き立つ。可能なら手を出してみたい。真逆の存在である崩壊アンプルは嫌だけれど。こくりと俯いて憂鬱を浮かべてしまう。
〈ホンル?〉
どうかしたかい、と傍らのダンテが問いかける。
〈眠い?〉
時刻は既に夜更け。眠れずにホンルはダンテの傍に居て、考え事に耽っていた。眠いかどうか聞かれたら、まだ睡魔は迫ってきていない。睫毛を伏せてホンルは「ん~」と唸る。疲れているので休みたい。だけど、眠れない。バクバクとうるさい心臓と、落ち着かない精神を宥めなければ、部屋に戻れない。
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