あぁもう、俺の妹がこんなにも 時は十月。つい先日までは二十五度をゆうに超え、夏服でも問題なく過ごせる日々が続いていたというのに。あれよあれよと気温がさがり、刻一刻と冬に近づいていく。
学校では、集会の度にやれ肩が凝るだ、ダサイだなんだとブーブー文句を言っていた女子たちが、いそいそとセーターとブレザーを羽織だし、チームメイトたちは行き帰りに着るジャージの下にパーカーを仕込み出す。そんな晩秋の到来に、侑はデレデレに緩みそうな頬をなんとか引き締めて体裁を保っていた。
元々、侑は子供体温だった。寒さにもめっぽう強い。勿論、寒さは感じる。けれど、厚着をしないと耐えられないほどではなかった。小学生までは年がら年中短パンと半袖で過ごし、学校からも皆勤賞をもらうほどに身体も丈夫。こたつは好きだけど、無くても生きていける。そんな感じで冬とは実に良好な関係を築けていた。
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