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    えくれあ

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    えくれあ

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    ふる〜てぃ〜ずの甘酸っぱく…少し苦い。
    そんな秘密の果実を頬張ってみましょう。

    ふる〜てぃ〜ず“れもん”「あ、いちごじゃん、どうしたのそんなに慌てて……!?」
    「れーちゃんごめん、後でねっっ。」

     慌てて横を通り過ぎていく幼なじみが気になって、追いかけてみる。

    「いちごのやつ、どうしたってんだ?」

     風になびくくすんだ山吹色のツインテールを抑えながら眉間に皺を寄せる少女が1人。いつもパタパタと慌てっぽい幼なじみであるが、あそこまで切羽詰まった様子はそのシトリンに初めて映した。
     変わり映えのない毎日に、彼女が慌てるなんてなにかあるに違いない。これはわくわくする。

    (何となく追いかけてみてるけど、これでトイレ行きたかっただけとかだったらめっちゃ申し訳ねぇな。)

     階段を上り、廊下を曲がる。ここは職員室や会議室がある階だ。先生に見られたら不味いので、静かにお淑やかに歩き始めた。
     萌黄(もえぎ)れもん。フリュイでも名のある「萌黄財団」の一人娘。正真正銘の御令嬢。お嬢様。アンティーク調の人形と思わせるその愛らしく美しい見た目と、上品な立ち振る舞いには定評があり、先輩後輩と問わずに一目置かれる存在だ。
     だからみんなの前では親に言われるとおり、みんなの前ではお嬢様らしく、イメージを壊さないように努力している。……ほんとはお転婆で、しょっちゅう家を抜け出していたような荒っぽい破天荒なところが本性なのだが。

    「萌黄さんこんにちは。」
    「ご機嫌よう。」
    「れもん先輩、こんにちは!」
    「…ご機嫌よう。」

    (んなことしてる場合じゃなくて!いちごがなんで学院長室の方に消えてるんだよ!)

     幼なじみの赤星いちごは、1つ上の気弱であるがしっかりしていて、何事もそつなくこなしてしまうような要領の良い姉のような存在だ。幼い頃に家を抜け出して迷子になっていた所を助けて貰った事がきっかけでよく遊ぶようになった。
     そんな良い子のお手本のようないちごが、寄りにもよって学院長に呼び出しくらうなんて考えられないとれもんは考えている。

    『えっ、ええええええええ!?』

     いちごの声だ。

     扉の前で思わずそわそわとしてしまう。こんなお嬢様らしくない姿、他の人に見られたら不味いが……構ってはいられない。退学とかになってたらどうしよう……いや別に心当たりはないけれど。

    カチャリ。

    「ちょうどいいわ、萌黄れもん。」
    「が、学院長……先生。」
    「れーちゃん!?」

     開かれた扉からは学院長と……ふわふわとした魔法少女……!?

    「い、いちご!?」
    「……うん。」
    「かわいい!」
    「あ、ありがとう!?」

     いやぁ、あんな格好いつもしてくれればいいのにと思うれもん。混乱しすぎると一周まわって冷静になるものだ。

    「わ!光ってる!これが運命の相手、なのね!」
    「ホイップ!?隣は……チョコ!?」
    「なの!」
    「やんよ〜。」
    「……れーちゃん、飲み込みが早いね。さすが。」
    「そりゃぁビックリしたけど、可愛いじゃん!面白そうじゃん!」
    「ふふ。萌黄さんはやっぱり面白い人ね。」
    「おっと。……ワタクシは……可愛らしいと思いまして。」
    「もう、遅いと思うなぁ。」
    「それで…それは、なんですか?」

     ホイップの手の中にはれもんのシトリンと同じように光るクリスタル。

    「手に、持ってみるの!」
    「え……。……っ!?」

     ぱぁっと光に包まれて……姿が変わったれもん。

    「やっぱりね。レモンの戦士、キトロン。」
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