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    えくれあ

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    えくれあ

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    ふる〜てぃ〜ず“りんご”「なんだろうこれ、綺麗な石!」

     待ち合わせのために大きな公園の古時計に現れた彼女は、その下でキラリと光るものを拾った。
     ハリのある肌、すらっと伸びた手足と、綺麗な鼻筋。髪を高めのポニーテールに結ったその姿はパッと見ただけでは大学院生のような大人びた印象も与える。ただ、ひとつ。彼女が着ている服をのぞいて。

    「あ、りんごだ、おはよ!」
    「みかんちゃん!おはよー!」

     彼女、緑里りんごに比べたら小柄な少女、りんごの幼なじみである橙木みかんが走ってくる。みかんの服は……りんごとお揃い。

    「ごめんごめん、ちょっと寝坊した。」
    「あと1分待っても来なかったら行くとこだったよ。」

     グレーのセーラーカラーに三角タイ。セーラーカラーと同色のハイウェストスカート。フリュイで知らない人は居ないであろう、ポームム女学院。その中等部の制服を着こなす2人。みかんのタイは黄色で2年生、対するりんごは緑の1年生だ。

    「もう学院は慣れた?私は初等部からの持ち上がりだけど、りんごは違うからちょっと心配だったんだよね。」
    「うん、みんな優しくて、先輩たちもみかんちゃんと一緒にいる子だねって可愛がってくれるよ。」
    「演劇部、楽しそうだもんねぇ〜。ダンス部の子達もすごい子と一緒だよねって〜。」
    「そんなこと言われてるのぉ?」
    「大丈夫大丈夫。そりゃその見た目じゃ目立つから最初は物珍しく見られるけど、すぐ慣れるって。」

     そう言ってカラカラと笑うみかんに、りんごも微笑む。

    「ねぇ、りんご。」

     ふと、みかんがりんごの方を真っ直ぐに見つめて呼びかける。

    「なぁに?」

     いつもとは違う雰囲気に、りんごは不思議そうに返答した。

    「学院、楽しい?」

     ああ、みかんは全部知ってるんだと思った。だってまさか“あの子たち”もこっちに入学したなんてりんごは思ってなかったから。
     確かに学院には慣れていた。でも楽しいかどうか?変わりたくて進んだのに、なにも変わらなくて、初等学校の時と同じで、嫌味を吐かれ、貶され、嘲笑われることに、なにも言わずににこにこして、毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日……子供のままで、いじめだと気づかなければ良かった。つらい。でも。

    「みかんちゃんがいるから楽しいと思う。」

     消えてしまいたいとりんごは考えることがあった。激しくなりつつある戦争に巻き込まれてしまえばしょうがないと納得して消えることができるのではないか。でも、みかんがいる。みかんちゃんと遊べなくなるのは嫌だった。

    「そか。あ、見て!ふる〜てぃ〜ずだよ!」
    「ほんとだ……川沿いの国の境界だからかなぁ。」

     国のスティルペースジュエルの守護者、ふる〜てぃ〜ず。この国はジュエルの魔力で守られていて、魔力が強く、適正があるとアイドル戦士になれるらしい。まるでアニメみたいだとりんごは思う。

    (かわいい、でも、私には魔力はないからな。)

     魔力が発現するかしないかは個人差があるらしく、りんごは発現していなかった。かっこいいと思いつつも、自分とは遠い存在だった。

    ーードン

    「「!?」」

     ルレギュームのふる〜てぃ〜ずが放った光線。それが考え事をしてるうちに少し先に進んでいたみかんに向かっていた。だめ、みかんちゃんはだめ。いや、だめ、早く、早く退いて。だめ。ダメダメだめだめだめ!!

    「みかんちゃんは、だめぇええええええええ!!!」

     ふわっと、体が浮いた。光が、包み込んだ。
    ーー変身していた。
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