ふる〜てぃ〜ず“ぴぃす”「なぁ?ぴーちゃん、また、かえってくる?」
「モチロン!ワタシのおじいちゃまがげんきになったら、チェリーちゃんも、またあそんでほしいネ。」
「ウチ、ずーっとまってる。だからぴーちゃん、なかないで。」
「チェリーちゃぁん……promise…やくそくデスぅ。」
--夢……。
窓から差し込む朝の光に照らされて、1人の少女が目を覚ました。
スラリと伸びた手足、17歳とは思えないそのシルエットと目鼻立ちは、すれ違う人を振り返らせるほどの魅力があった。
「oh....I had a nostalgic dream…」
やはり幼い頃から家でも引越し先でも使っていた、母の故郷の言葉のほうがパッと出るなと思う彼女。寝ぼけ眼を擦ってから伸びをして、癖毛で広がる髪を抑えつつ立ち上がる。彼女の名前はぴぃす・イエロウィッシュ・グリーン、オルス学園高等部の2年生。
今から10年ほど前、小さな手と手が紡いだ約束は未だに果たされていない。
(What's her name, again)
最近よく夢に見る幼少期の記憶、そしてあの約束。幼い頃の記憶を頼りに思い出すのはやはり難しく、眉間にシワを寄せて考え込む。柔らかそうな桜色の髪をお下げにした、ぴぃすとはまた違う、独特の口調で話す年下の女の子。ぼやっとした記憶の中にある、ハッキリとした楽しい思い出。約束はまだ叶えられそうにない。
(I finally returned to this town.Are you well)
ああ、あの子に会いたい。約束を果たすために。そして、今は頑張っているよと伝えたい。
あの頃の泣き虫な私ではないよと、ずっと伝えたかった。でも、やっぱりちょっと辛いから、あの時みたいに優しく撫でて欲しい。年上の私は格好つかないかもしれないけど、またあの柔らかな手で。
ねぇ、会いたいよ。