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    じろ~

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    じろ~

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    ※本誌の軽いネタバレがあるかもしれません

    捕まった後の五つ子が駄弁っているだけのSSです!捏造だらけなのでご注意ください!

    #デリザスタ
    #五兄弟
    ##五兄弟

    そしてこれからも日々は続く ヘカテリス監獄の一室で、彼らは一斉に食事を摂らされていた。
     デリザスタはすっかり囚人服が板についた兄たちと、一人制服を着て立っている弟に目を向ける。
    「なぁ、ここってもっといいもん出ないワケ? そろそろ血ィ飲まねえとお肌が荒れちゃうんだけど」
     そう軽口をたたくと、長男のドゥウムが諫めるようにこう言った。
    「そう言うな。我々がしでかしたことを考えると、かなり丁重に扱われている方だ」
    「そうかなぁ。低調に、の間違いっしょ」
    「肌にはプリンがいいですよ、糖分は全てを解決してくれます」
     エピデムがカスタードプリンをどこからか取り出す。
    「欲しい」
    「どうぞ」
     デリザスタが何か言う前に、ファーミンが横からプリンを攫って行った。ガツガツと食べる彼に、デリザスタは半目になって言う。
    「あー、やだやだ。もっと上品に食べてくださいよぉオニーサマ」
    「というか、ドミナは何をしに来たのです? アナタは確か、保護観察処分になっていたでしょう」
    エピデムがプリンをスプーンで掬いながら話を振る。それにドミナは肩をすくめた。
    「お父様に会いに来たついでです。お兄様達はどうしているかと聞いたら、ここに通されて」
    「そんなに簡単に通して大丈夫なのか……?」
    「ここ結構警備ザルじゃねぇ? みんなで脱獄しちゃう?」
    「デリザスタだけ今の発言で百年は刑期伸びた」
    「そうですね」
    「えっやだ~オレっちにだけ辛辣~」
     今までからは考えられないほど呑気に言葉を交わす兄たちに、ドミナは少し戸惑ったような顔をした。
    「……その、あなた方はこれからどうするつもりですか」
     その問いに、兄弟は一斉に目を丸くした。
    「オレは外に出る」
     一番に答えたファーミンに、兄弟は揃って顔を向ける。
    「出た後は?」
    「人生を楽しむ」
    「ふんわりしてんな~。そもそも出るってどうやって?」
     デリザスタが思わずそう言うと、彼は少し押し黙った後にポツリとこう言った。
    「ここでのルール、守ってやる。それだけ」
     それに驚いて、デリザスタは目を見張った。他の兄弟たちもみな驚いた顔で彼を見ている。
    「貴様はそういった規律が誰より嫌いだっただろう。どういう風の吹き回しだ?」
     ドゥウムが聞くと、ファーミンは目を逸らす。
    「なんとなく、そうしてやってもいいかと思った」
    「……そうか」
     静かに頷くと、ドゥウムが実は私も、と続ける。
    「罪を償い、ここを出られたら開業するつもりだ。パンケーキ屋を」
    「パンケーキ⁉ マジで⁉」
    「そんなご趣味があったんですか、兄者は」
    「作ったことはまだないが、これから挑戦していくつもりだ。甘味づくりをな」
    「いや経験ないのに開業するつもりなの、ハードルたけ~」
     デリザスタは大口を開けてゲラゲラと笑う。それに続くように、今度はエピデムが口を開いた。
    「私も趣味の研究を続けますよ。まぁ、今度はなるべく法に触れないようにしますが」
    「なるべくなんですね……」
    「あっ、今の発言で刑期伸びたよ絶対。おそろ」
    「いやなおそろですねぇ……」
     そう答えて、エピデムはドミナの方を振り返る。
    「そういうアナタはどうするのです?」
    「……僕は」
     そう言って、ドミナは一度深く息を吸い込んだ。
    「今度は、真っ当に生きます。ヴァルキスの一生徒として」
    「ふーん、イーストンじゃなくていいの? キノコ頭と一緒の」
     そう聞くと、彼は小さく笑った。
    「最初はそれもいいかと思ったのですが。あえて別の道に進むことで、ちゃんとやっていけるってことを見せたいと思ったんです、彼に。……あと、僕にも一応、学友がいますから」
     今まで見せたことが無いほど穏やかな目で微笑む彼に、デリザスタは「ふうん」と相槌を打った。
    「デリザスタは、どうするつもりだ?」
    「え? オレ?」
     ドゥウムが、そんなデリザスタにそう言って話を向ける。
     向けられた八個の目に軽くのけ反って、それに後押しされるように思考を巡らせた。
    「オレはあのムカつく兄弟をぶっ殺しにいくよぉ」
     そう言うと、兄弟はみな呆れた顔をした。
    「何回刑期を伸ばせば気が済むんだ、貴様は」
    「え~実際に伸びてるわけじゃないし。オニーサマ真面目過ぎ」
    「他にやりたいことないの」
    「やりたいこと、ねぇ……」
     呟いて、デリザスタは考え込む。
     とりあえず、あのイカレ兄弟をかつての自分と同じくらいグチャグチャにする。あの時の礼をたっぷりしなくては。おかげでこっちは未だに夢に見るのだ、頭を吹き飛ばされた時のことを。
     百万回殺して、殺して、殺して、その後は。
     ふと、デリザスタはこちらを伺う己の兄弟たちの顔を見回した。

     長男がこんなに天然だとは知らなかった。思ったより揶揄い甲斐のあるその真面目さに、心底笑わせてもらった。
     二男にそんな心があったとは知らなかった。何があったのかはよく知らないが、きっと自分と似たような経験をしたのだろう。
     三男は……こんなに懲りない男だとは思わなかった。あまりのブレなさに、一種の敬意すら覚える。……かもしれない。
     そして五男。彼が、こんなに自分の意志がある男だと思わなかった。出会いを経て、彼の中で絶対だったことが崩れたのだろう。今まで見てきた中で間違いなく、彼は一番良い顔をしていた。

     そんな兄弟たちを見て、デリザスタはニヤリと笑う。
    「そーだなー、オレっちもバーとか経営しちゃおっかな」
     こうしたくだらない話をするのも、意外とストレス発散になるものである。
     そういった意味合いを込めて発したその言葉に、兄弟はみな目を丸くしていた。
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