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    itsugogatsu

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    itsugogatsu

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    プラネタリウムの話がちょっとバレる。見に行ってなくても大丈夫です。
    光の性別種族などは特にないです。

    光ラハ 1 ウルダハ、クイックサンドにて。冒険者は己の正面で溌溂と星を語る友人を見つめていた。
     異界なる地における「月」と「地球」の話。こちら側に渡ってくる人々がいるのなら、いつか自身も稀人としてそちら側に渡ることがあるのかもしれない。これほど興味深い話を聞いてしまっては冒険心を擽られずにはいられなかったが、それよりもなにより、冒険者にとっては目の前にいるグ・ラハ・ティアが楽しそうにしているということの方がずっと大切であった。
     「っと、悪い。また俺ばっかり話してた……え? 俺の話を聞いてるのが好きだからって……へへ、なんか照れるな」
     柔らかな被毛に覆われた耳をへたりと倒し、頬に朱を差したグ・ラハがはにかんだ。腕をさする仕草はすっかりおなじみのそれであり、冒険者の口元が弧を描く。椅子の陰で彼の尾が忙しく揺れていることなど冒険者には見るまでもなくわかりきったことだった。

     これほど喜んでもらえるのならば請け負っていた仕事をめちゃくちゃなスケジュールで終わらせてきたかいもあった、と冒険者はすっかり中身がぬるくなったグラスに口をつける。自分にできることなのであれば、彼の願いは全部叶えてやりたいのだ。
     「なあ、あんた、本当に時間は大丈夫か? ……そうか、よかった。実はまだ話したいことがたくさんあってさ」
     首を傾げたグ・ラハに頷き、冒険者はちらりとカウンターに視線を送ってから立ち上がった。グ・ラハもまた、自身から外れた視線の先でモモディが難しい顔をしていることに気が付いて後に続く。これ以上長居をしては悪いだろう。店を出た先で顔を見合わせ、ふたりはどちらからともなく笑い出した。
     どこへ行こうか、と冒険者がグ・ラハへ問いかける。己を見つめる赤い星はやはりいっとう眩くて、冒険者は目を細めた。
     
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