「『お気に入り』を抱くってのは気分が良い。おまえの『女』としての顔、声、閨でだけ見せる痴態をオレが楽しんでないとでも?他の誰でも良いと思うか?
ああ、おまえは請われたら他の男にもその身を委ねるだろうな。お優しいマスターだ。それが必要ならそうする、そうだろう」
「仕方ないでしょう……それが……必要なら……私に差し出せるものなんてそれしかない……」
「そうだな、戦のためにそれが必要なら己のが身を惜しげもなく使う。良い戦士だ。オレは止めんしその必要があるというなら推奨する」
「じゃあどうしてそんな怖い顔をするの」
「そんなこともわからないのかい、お嬢さん。オレは自分の供物を他のやつに食われて鷹揚にいられるほど心が広くない。おまえのように『仕方がない』なんて我慢はしないのさ」
「待って……痛い……手を放して……」
「誘ったのはそっちだろう?」
「…………っ」
「オレ以外では快楽を得られぬようにおまえにオレを刻み込む、それくらいはさせてもらうさ」
「なっ…………」
「おまえは儀式的に行う方が気楽だもんなぁ?マスターの義務として、淡々と抱かれてやればいい。オレとの交わりにそれは許さんがね」
こわい。
酷く怒った声で、腕を掴む手が痛くて。
身が竦む。
なのにどうして、そんなに寂しそうな目をしているの。
「令呪を使ってみるか?3画全て使えば止められるかも知れんな?」
この令呪にそんな強制力はない、わかった上で挑発している。
「ぅあっ」
指先で触れられるだけで全身に電気が走るよう。
「な、なんで……やぁっ……」
「心配するなよ、痛みは与えない。おまえだって気持ち良いことは好きだろう?快楽だけを与えてやろう。こいつは魔力供給じゃあない。ただオレの楽しみのために抱く、それだけだ」
「はっ……あ……ひぁっ」
「おまえは何故オレに抱かれる?魔力供給って口実は消えたぞ。なあマスター、教えてくれよ」