そしてサイレンは鳴り響く。枕を持って上目遣いに見遣ればハララさんは少し黙ったあと
「……一時間三万」
と答えたので、瞬時に頷く。
一緒に寝るのに一時間につき三万、安いものだ。
下心は少しあったが、純粋にハララさんと枕を並べて寝てみたかったというのもある。
着替えるから待っていろと部屋に入っていくので、廊下で座って待つ。
冬のせいか、冷たい廊下の壁が体温を奪っていく気がしてボクはソワソワとする。
勇気をだして良かった、と枕を持ち直せば「入っていいぞ」と声がした。
「お、お邪魔しま……」
緊張しながら扉を開け、ボクは目を開く。
殺風景というよりはシンプルな部屋、片隅に置かれたベッドは柔らかさを重視したと言っていたのを思い出す。
「どうした?」
柔らかなベッドの上に座って、ハララさんがこちらを見つめる。
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