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    aieyeaifuka

    @aieyeaifuka

    今は沢深メインに書いてます。たまーに別のも。

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    aieyeaifuka

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    愛をみつける
    ②と③の間のノアside
    ノアはみんなが尊敬する系のできる男にしたかったので、完璧な紳士を目指しました。
    ちゃんと伝わってるかな?
    ノアみたいな男との深津さんがめちゃくちゃ愛されるモブ深もちょっといいなと、それを阻止するさぁきた君に頑張ってほしい、結局は沢深ww
    誤字脱字確認用で載せてます
    ここに載せると間違いがわかりやすい

    #沢深
    depthsOfAMountainStream

    初めて彼を見たのはインターハイの試合の時だった。日本の高校バスケで日本一の選手がアメリカに行きたがっていると連絡があって、あまり期待はしていなかったが、スカウトマンとして品定めの為に来日した。みんな同じ髪型で誰が誰やらと見極めが難しい中、それでもさすがは名門校。レギュラーを取るだけの選手達はそれなりのプレーをしていた。その中で唯一、目を奪う存在がいた。一番、というわけではない。でも彼の動き一つで周りの選手が光ってくる。的確なパスと、シュート数は少ないが確実に決める正確さに、中からも外からも打てる柔軟さ。でも、目を奪われたのはそこじゃない。人を惹きつける魅力。しなやかな体に汗が光って艶が溢れる。あまり表情を変えないが、だからこそ、一瞬綻ぶ瞬間が堪らない。プレーは派手じゃないのに、目が離せない。気づけば、無我夢中でその子だけを追いかけていた。

    見つけた、この子が欲しい。

    「綺麗だな」

    思わず、独り言のように声に出る。
    隣で部下の「そうですね」という言葉が入ってきて、そう思ったのは自分だけじゃない事を知る。魅力がある人間は誰の目にも惹きつけられてしまう。人生をそれなりに生きてる人間なら、尚更それに気づきやすい。

    権力者が好みそうだな。

    多分、自分もこれが仕事じゃなければ、いろんな手段を使って手に入れるだろう。でも、それをしてしまうと、この子の魅力が無くなってしまう。自然なままの彼がいい。欲しいけど、今回の目的はプレーとして一番の選手。見るべき相手が違う。仕方なく視線を変えるが、やはり片隅で追いかけてしまう。誰か一人の選手に対して期待する事はあるが、“焦がれる”のは初めてかもしれない。欲しいと思いながらも、すぐにそれは諦めて、仕方なく仕事としての責務を果たした。



    次に彼を見たのは、クラブハウスのカフェテリアだった。エージの声がいつもより大きくて、おまけに日本語で話している。他の選手も家族や友人を連れてくるから、いろんな言語が飛び交う場所だが、日本語を聞くのは珍しい。ただの興味本意で振り向けば、目の前に花が咲き乱れた。

    あの子だ。

    目を奪われるのはこれで二度目。
    少し髪が伸びて、大人びた雰囲気がまた彼の良さを引き出していた。どうやらここにはエージが連れてきたらしい。カフェテリアで会うスタッフが興味本位で声をかけていて、その度に嬉しそうに紹介している。誰も彼が日本ではそれなりの名前が通ったプレーヤーという事を知らずに、彼の雰囲気だけで人が寄ってきている。人を惹きつける魅力は学生の時以上に増していて、これは他がほっとかないな、と嫌でも思い知らされる。喋ったこともないのに、他人が寄ってくるのが気に入らない。自分のパートナーだったら、嫉妬で何処かに閉じ込めている。スカウトマンからGMになった今の立場なら、この場で彼を呼び出して誰もいない部屋に連れて行ける。やっぱり無理をしてでも日本で声をかけておけばよかったと、こうやって再び見つめる事ができた今、改めて後悔した。エージが私に気づいて手を振っている。自分のものを紹介したくて仕方がないという感じで、こっちに来いと手招きしている。その招きには喜んで応じよう。彼を近くて見る事ができるのは、今の自分にとっては、ここ最近では味わっていなかった、最高という名に近い喜びかもしれない。向かう足が思ってる以上に速度を増して、浮き足立っているのが分かる。目の前まで行けば、遠くで見ているよりも妖艶で、彼の世界に吸い込まれそうな感覚に陥った。周りに人がいることも忘れて、彼の姿だけが目に映る。少し垂れた瞳が私を見つめて、思わずその目元にキスしたくなった。

    「ノア、この人ね、俺の高校の先輩で深津一成さん」

    エージの声で現実に引き戻されて、夢から覚めた事に少し苛立ちを覚えた。

    「一個上で山王のキャプテンしてた人。三年間レギュラーだったから、試合見てたら見たことあるかも」

    知ってるよ。
    初めて見た瞬間、一瞬で心を奪われたから。

    「深津さん、この人ね、俺をスカウトしてくれたノア・テイラーさん。みんなノアって呼んでる。今はGMになったから、かなり偉い人」
    「初めまして。君の事、試合で見たよ。いいプレーをするよね。エージがいなかったら君が欲しかった」
    「なっ、ちょっと、マジでっ⁈」

    自己紹介をして握手を求めて手を出したのに、エージが私の言葉に反応して喋るから、エージと話してると思われたのか、握り返してくれなかった。

    「…深津一成です」

    それでもずっと出してることで、自分が握手を求められる事に気付いたのか、やっと手を握ってくれて、英語で話しかけたのにちゃんと名前を言ってくれた。綺麗な厚みのある唇に釘付けになって、今度はその唇にキスしたくなった。

    「一成…カズって呼んでもいい?」

    手を握ったまま問いかけると、なんとなく言ってる事が分かったのか「ピョン」と返ってきた。どういう意味なのか分からないけど、響きとか言い方とか全部彼に合っていて、凄く可愛いと思った。

    「いつまで手ェ、握ってんの。もう離してっ!」

    無理矢理エージが腕を掴んで、その手を剥がされる。せっかく触れられたのに残念だ。そのまま指を絡めて手を離さず、何処かに攫ってしまえたらどんなに幸せか。この歳でそんな想像をしてしまえるくらい、彼は魅力に溢れている。エージの態度で恋人なのはなんとなく察しがついたが、もしあと十歳若ければ、無理矢理にでも奪っていたかもしれない。こんな子が恋人なんて、エージも大変だ。でも苦労すればいい。…なんて、大人気ない考えがよぎった。私より年齢が二十以上も離れてるエージに嫉妬してしまうほど、この子の事が欲しかった。
    それからちょくちょく、エージが彼を連れてくるようになった。普段いろいろと飛び回っているのに、偶然そこに居合わせる事ができたのは、運命に近い。彼を見る度、心が躍る。彼が誰かの恋人でも構わない。見るだけでいいから、その姿を近くで見ていたい。そう思うようになったのは、エージがカズをアメリカに呼び寄せる提案をしてきた時だ。一瞬で彼のいる生活を想像すると、私の世界が鮮やかに色づいた。だからエージの提案に乗った。乗ったはいいものの、実際話を進めると交渉は難航した。それは単純にカズの会社の社長が首を縦に振らなかったから。手放したくないのが一目瞭然。やっぱり彼は権力者が好みそうだ。それでも、どうしても手に入れたい。それなりの金額とそれなりの技術とシステムの構築の提供。それで駄目ならやはり人材で。同等の対価を払うなら、それなりのビッグネームが必要だ。最初からエージが話を持ってきてくれてよかった。エージなら十分に交渉材料になる。日本代表のキャプテンでもあるカズの存在は、選手は無論、精神的にも支柱の存在で、NBAプレーヤーにも引けを取らない。それに加えて権力者特有の囲っておきたいという欲求を駆り立てる魅力。両方兼ね備えれば存在としての価値はエージ以上だ。トップに立つ人間はそういう事をよく分かっている。こちらがどこまで譲歩できるか。底を見てこちらの顔色を窺ってくるのは本当に憎らしい。結局、エージとの広告契約が追加されて、やっと二年間の契約まで取り付けた。条件として英語が喋れないカズに、社長の孫であるケイが専属の通訳としてつけられた。娘がアメリカ人と結婚してラストネームが違うから、誰も孫だと気づいていない。カズより一つ下で、エージと立場的には一緒になる事で、カズが気を許せるように仕向けている。例外になくケイもカズのファンらしく、一家でカズを追いかけていて、自分の手から離しはしたが、孫を使いカズの動向を逐一報告させている。厄介な事に、ケイもファンという言葉ではおさまらないほど、カズにご執心だ。カズの横にベッタリとくっついて、全てを見逃すまいという意思が全身から見て取れる。献身的な行動と、日本語が話せる安心感からか、カズはエージの次にケイに気を許していて、あまり遠慮する事なく話をしている。こちらがカズをどんなふうに扱っているのかも全部筒抜けだろう。勿論、会社の大事な社員、何より日本代表でもあるカズを、大事に扱わないなんて事はあり得ないが。それに加えて、カズはあの見た目だ。放っておく人間の方が少ない。誰からも好かれて可愛がられる。だから、手放しても変な虫がつかないように、一番信頼できる身内をカズの側につけた。全て社長の思い通り。見張られているプレッシャーはあるが、ある意味それは都合が良かった。本当にカズに変な虫がつかれては困るのだ。双方が気を張っていれば、トラブルに巻き込まれる事はない。カズに何かあればエージのメンタルにも影響するし、それは私個人にとってもマイナスだ。私はほとんど側にいられないから、スタッフからカズの状況を逐一伝えてもらってるが、カズ自身が隙を見せない行動をしていて、これまでこれといった心配事は起こらなかった。だが、カズが来て一年半が過ぎ、周りとの意思疎通もスムーズになってきて、もうあまり心配する事はないと安心していたが、それは大きな間違いだった。勿論、変な虫はついていない。それに対してはみんな常に目を光らせていた。本質はそこじゃない。私が暫く飛び回っている間に、カズの中で何かがあった。月に何度かは姿を見るようにして、時間がある時は食事にも誘っていたが、忙しさと、クラブハウスにいてもスケジュールの都合で四ヶ月間姿を見る事ができなかった。久々にカズの姿が見れると、年甲斐もなく浮き浮きと心躍らせてコートに向かうと、私の体は一瞬で固まった。待ちに待ったカズの姿は、全くの別人だった。顔は明らかにクマを作り、食事をちゃんと摂っていないと分かるほど痩せていた。なんで、こんなにもやつれているのに、周りは気づかない?あまりのカズの変貌にこれに気づかない周りに怒りが沸き起こったが、それはカズ自身が上手く隠してるんだとすぐに悟った。わざと露出の少ない服で隠して、髪の毛は伸ばしたままで、表情を見えにくくしている。それに加えて態度は気丈に振る舞って、やつれている事を悟らせない。特にエージの前では、いつも以上に視線を熱くして、エージはそれにのぼせ上がって、本当のカズが見えていない。それに唯一気づいているのは通訳のケイくらいだろう。会った時からカズを見つめるケイの視線は、自分と同じものだと気づいていた。だからケイは少し離れたところで、カズの事を見ることができる。今も心配と悔しさを滲ませて見つめている。でも、ケイはカズには何も言わない。本当はどうにかしたいと思ってるんだろうが、自分の立場を分かっているし、祖父から何か言われてるのだろう。私の視線に気づいても、こちらがどう行動に出るかを伺っている。結局、私もケイと一緒だ。その場ではカズには挨拶程度の言葉しかかけなかった。カズが必死に隠しているのに、この場で問い詰めるなんて事はしない。私はいつものように行動し、その後、医師に相談した。案の定、カウンセリングを受けるべきだと言われたが、アメリカ人と日本人の考え方は違う。カズが必死で隠して悟られないようにしているのに、素直にカウンセリングを受けるとは到底思えない。だからこちらもカズに気づかれないように行動する事にした。まず、エージが遠征でいない時に契約の事でとカズをオフィスルームに呼び出し、その時に医師に相談して睡眠効果のあるハーブティーを用意し、それを飲ませてどうにか眠りにつかせた。私はスタッフを呼び、カズについて話し合った。みんな、本当に気付いてなくて、カズがどれだけ上手く隠していたのか、思い知らされた。選手と違い、カズは今、コーチとしてこのチームに入っている。健康面ではされるよりする方の立場だ。それが仇となって、カズの変化を誰も気づく事ができなかった。それにはスタッフもショックが大きかった。カズがこうなった原因はどう考えてもエージだ。カズの変化に誰も気づかなかったという事は、それだけ上手く隠していて、カズ自身がそれを知られたくないという証だ。だから、こちらは何も詮索しない。ただ、カズの体調の管理はちゃんとする。エイジの態度はあからさまだから、スタッフはみんな、カズとエージの関係がパートナーと認識してる者ばかりだ。だから、話は早かった。食事はスタッフと摂らせるようにエージとのスケジュールを調整した。睡眠に関してはカウンセリングを受けるしかない。ただ、もし薬を処方されたとしても、本人がちゃんと飲むかは別問題だ。これはこちら側のケアが必要だろう。なるべく栄養価の高いものを自然な形でカズの口に入るように努力した。ケイの日本側への報告がどういうふうに伝わっているのかは分からないが、もう既にカズの存在はうちのチームには必要不可欠で、誰もこんな事でカズを失いたくはない。だが、結果としては、カズは良くならなかった。一度気づいてしまったら、無理をしているのは見てとれた。体は回復しても、心は違う。できればカズをずっとここに引き留めておきたい。でも、エージといる限り、カズはどんどん弱っていく。私達は話し合った。皆んな同じ考えだった。結果、一度、エージと引き離すという結論を出した。これはかなりの賭けだ。エージには確実に影響が出るが、カズにとっても、それがいいとは限らない。もっと悪くなるかもしれない。どう転ぶか全くもって分からない。でもこのままじゃいけないと思った。だから、私達は決断した。そしてそれに向けて動き出した。
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    aieyeaifuka

    PROGRESS愛をみつける
    ⑤の後のケイside
    みんなから愛される深津さんが好き
    誤字脱字確認用
    深津さんが倒れた。
    深津さんがノアと契約して離れるものだと思っていたけど、結局俺も、通訳として一緒に行動することを許された。多分、爺ちゃんとの契約だろう。ノアは思ってる以上に忙しくいろんなところに飛び回っていて、そのアシスタントである深津さんも同じように行動する。日本に行くことになって、深津さんも俺もそれぞれ休暇がもらえて、深津さんは実家に帰り、俺は爺ちゃんのところに行った。休暇の間は深津さんの行動は分からなかった。倒れたと連絡があった時はどうやら深津さんは東京にいて、爺ちゃんの会社にいたノアが一番早く病院に駆けつけて対応した。俺が病院に着いて個室に行くと、ベッドの横にテーブルがあってノアがパソコンを広げて仕事をしていた。深津さんは眠っていて、睡眠導入剤を入れられて明日まで起きないと言われた。ノアを背にしてベッドの横に座って深津さんの顔を見れば、涙を流した跡があった。疲れからくる発作で心配ないと言われたけど、そんな事はないと確信した。多分俺がくる前にノアと話をしたんだろう。何かがあったんだとモヤモヤして、このままだと帰るに帰れなくて、ノアに何があったのか聞いた。案の定、話してくれるはずもなく、それでもしつこく問いただすと、カズのプライバシーの事だからと一喝された。分かってる、分かってるけど、倒れるほどになるまで深津さんがおかしくなってしまった理由を知りたかった。いや、理由なんて沢北のことだって分かってる。ただ何があったのかを知りたかった。
    1891

    aieyeaifuka

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間の沢北side
    ネトフリ公式ので、萌え散らかしたww
    これ聞いて、ちゃんと深津さんに愛されてるよって思ってるけど、このさぁきたくんは相当自信をなくしておりますww
    ちなみに深津さんは沢北ファンの前では一緒にいないようにしてるので、深津さんと沢北ファンとの接点がなくて、みんな沢深推しなのに誤解されたまま。
    誤字脱字確認用
    『カズがノアとアシスタント契約を結んだらしい』

    それはチーム内でもすぐに噂になった。でも、誰もあまり驚かない。それは深津さんがそういう人材に適してる事を意味していた。まだ早いんじゃないかという意見も聞こえたが、概ね、みんな納得してこの事実を受け入れた。ただ、深津さんはみんなから好かれてる。

    「カズがいないと寂しい」
    「エージ、カズはいつ帰ってくるんだ」

    みんな口々に俺にそう言ってきて、深津さんの情報を聞き出そうとする。でも、そんなのは俺が知りたい。誰よりも深津さんは俺を避けている。これから深津さんの話を聞くことができるのは、俺以外の誰かから。

    なんで?
    どうして?
    俺が嫌だった?
    好きじゃなかった?

    でもよくよく考えたら、深津さんから好きって言われた事がない。高校の時に、俺から告白して、無理矢理体を繋げて、それで今までずっと上手くやってきたから忘れていた。行動で示してたつもりだったけど、馬鹿だな、俺は。深津さんの気持ちをちゃんと聞いたことがない。自分が頑張れば、深津さんは自分のものにできると、ずっと思って行動してきた。それはそれで間違ってはいないけど、それに言葉が伴ってない。深津さんの気持ちも聞いてないし、俺だって、最初の一度きりでそれ以来、ちゃんと気持ちを伝えてない。全部、何もかも、俺の勢いと想いだけで成り立っていた関係だった。だから、今になって、なんで?どうして?と、根本的な疑問しか考えられない。普通なら“好き”が大前提にあって、それとは別にここが嫌だとか、こうしてほしいとか、そういう具体的な問題が出てくるもんだ。でも最初から言葉が足りてないから、何が嫌なのかも分からない。頑張ることだけをやり続けていた俺には、追いかける術を持っていない。正直、これからどう対処すればいいのか、どう動けば正解なのか、全く分からない。動いたら動いたで、何もかも裏目に出そうで、それが原因で本当に深津さんを失いそうで、その恐怖が付き纏って何もできなくなってしまっている。深津さんがいなくなって、十日経ったあたりから、俺のファンも異変に気づき始めた。情報収集は俺より優れているから、もう、どういう状況かも把握している。心配そうに聞いてくるのを、困った顔で返す事しかできなかった。
    2204

    aieyeaifuka

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間のケイside
    タイトルたまに見つけるになってる
    “みつける”が正解です
    ケイ君も深津さん大好きだけど、さぁきたや、ノアにはまだまだ魅力が及ばない、という感じで書いてます。
    これも誤字脱字確認用
    大好きな人がアメリカに来る。その通訳に俺が任命された。爺ちゃんから頼まれて、断る理由はなかった。ずっと憧れてた人。俺の高校時代にバスケで有名な山王工高のキャプテンだった一つ上の深津一成さん。バスケ好きの爺ちゃんのお陰で、俺も漏れなくバスケが好きだ。うちの爺ちゃんは、NBAの凄いプレーを見るよりは日本の高校生が切磋琢磨して頑張る姿が好きらしい。俺は爺ちゃんの娘である俺の母親とアメリカ人の父親の間にできた子だから、基本的にはアメリカに住んでるけど、爺ちゃんの影響と俺自身バスケをやってる事もあって、日本の高校生のプレーを見るのは好きだった。その中でも唯一、プレーは勿論、見た目もドストライクな人がいた。それが深津さんだ。俺はゲイかというとそうではない。好きな子はずっと女の子だった。深津さんは好きという言葉で表現していいのか分からない。最初から手の届かない人で、雲の上の存在。アイドルとかスーパースターを好きになるのと同じ。ファンや推しみたいな、そういう漠然とした感じの好きだった。会えるなんて思ってなかったし、せいぜい試合を見に行って出待ちして、姿が見れたら超ラッキー。話しかけて手を振ってくれたら大喜び。サインをもらえたら昇天するくらいの存在だ。深津さんを初めて見た時は、プレーじゃなく深津さん自身に惹かれた、目を奪われた、釘付けになった。どの言葉もしっくりくるし、当て嵌まる。それからはもう、虜だ。爺ちゃんもどうやらタイプは同じらしい。高校を卒業しても追いかけて、深津さんが大学に入ってすぐに、卒業したらうちの実業団にと既に声をかけていた。気に入ったら行動が早い。条件もあるが良い選手は早い者勝ちだ。アプローチするのは当然。その甲斐あってか、深津さんは爺ちゃんの会社を選んでくれた。深津さんのプレーを間近で見れるようになった俺は、もっと深津さんに心酔していった。一つ上なのになぜかすごく色気があって、でもどこかほっとけない雰囲気も醸し出していて、それがまた堪らない。深津さんのアメリカ行きの話が出て通訳を任された時は、そんなに長くない人生だけど、生きてきて一番喜んだ瞬間だった。こんな事があるなんて。爺ちゃんがお偉いさんでよかった。爺ちゃんの孫でよかった。俺は深津さんとは面識がない。ただ俺が一方的に心酔してるだけ。だから、深津さんの語尾がピョンというのも爺ちゃんから聞いた。深津さんは高校の時
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    aieyeaifuka

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間のノアside
    ノアはみんなが尊敬する系のできる男にしたかったので、完璧な紳士を目指しました。
    ちゃんと伝わってるかな?
    ノアみたいな男との深津さんがめちゃくちゃ愛されるモブ深もちょっといいなと、それを阻止するさぁきた君に頑張ってほしい、結局は沢深ww
    誤字脱字確認用で載せてます
    ここに載せると間違いがわかりやすい
    初めて彼を見たのはインターハイの試合の時だった。日本の高校バスケで日本一の選手がアメリカに行きたがっていると連絡があって、あまり期待はしていなかったが、スカウトマンとして品定めの為に来日した。みんな同じ髪型で誰が誰やらと見極めが難しい中、それでもさすがは名門校。レギュラーを取るだけの選手達はそれなりのプレーをしていた。その中で唯一、目を奪う存在がいた。一番、というわけではない。でも彼の動き一つで周りの選手が光ってくる。的確なパスと、シュート数は少ないが確実に決める正確さに、中からも外からも打てる柔軟さ。でも、目を奪われたのはそこじゃない。人を惹きつける魅力。しなやかな体に汗が光って艶が溢れる。あまり表情を変えないが、だからこそ、一瞬綻ぶ瞬間が堪らない。プレーは派手じゃないのに、目が離せない。気づけば、無我夢中でその子だけを追いかけていた。
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    aieyeaifuka

    PROGRESS沢深、オメガバース
    色香④
    深津さんside
    深津さんの沢北への想い
    いやー、立て続けですけど、なんか気持ちが乗ってる間にあげちゃいます
    ここに上がると誤字脱字、被りがいっぱい分かるので、それに気付かされてかなかな良き
    と言うことで、誤字脱字いっぱいありますが、気にせずに読んでください
    今日のは二つともかなり修正入りそうですww
    俺がつがい相手に知らせないでほしいと言った話は、どうやら許可されたようだった。でもその代わり、交換条件のような約束事を承諾させられた。それは『二十三歳を過ぎたら相手のつがいとつがい解除をする事。つがい相手が他のつがいを作った時点で、即座につがい解除をしてもらう事。その後は国が選んだつがい候補と番う事』だった。進学や就職を鑑みての判断らしい。あくまで普通の生活を送って、それでも俺には、もっと子どもを産んでほしいらしい。本当は運命のつがいとの子どもが一番だが、それが駄目なら他のアルファとの子どもでも研究対象になる。世間一般では間違っているようなことでも、俺が対象ならそれは全て正しい。これから先、俺の存在がアルファやオメガの価値観を変えるかもしれない。俺は研究者にとっては未知の世界で、喜びであって、最高の宝らしい。だから、俺が運命のつがいと番ってたとしても、俺が強く望むなら、つがい解除もやむなしとなった。つがい解除の時は、俺と相手の接触は極力避ける方法で解除してもらえるみたいで、国も俺を守る為にはどんな手段を使ってでも、俺を守るらしい。それを聞いて、将来いつか来る解除の日は、どうにかなりそうだと安心した。これは俺の逃げだ。俺の恐怖がこうさせた。俺が愛してしまったから、拒否されるのが怖いだけ。俺は初めてその相手を見た時、雷に打たれたような衝撃だった。ドキドキと心臓が波打って、体が熱くなった。衝動的に触りたい、触られたいと思って、そんな自分に驚いて、でも惚れ惚れする顔にキスしたい、抱きしめてほしいと、今まで思ったことのない感情が次から次へと溢れていった。気を抜けば相手の胸に飛び込んでしまいそうで、気持ちを落ち着かせるのに必死だった。毎夜、姿を思い出して、どうにかされたいと、あまりしない自慰行為をしてしまう。どうしようもなくて、よく近所の公園に頭を冷やしに行っていた。多分、世間で言う一目惚れとはこんな感じなんだろう。だから、レイプまがいの事をされた時、顔が分かってからは嬉しくて、嬉しくて、信じられないほどの多幸感に襲われた。でも目が合って逃げるように立ち去られた後は、痛みと辛さと怖さが一気に溢れてきた。歩くのもきつい状態で寮に帰り、痛みに耐えながら体を洗い、それでも朝には高熱が襲った。記憶があまりないけど、三日ほど入院して一週間は起き上がれなかった。それから歩けるようになって部
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