ムルヒス『就寝準備』 自室に備え付けられたベッドに腰掛けたムルソーは、一定の間隔で瞬きをしては眠たそうに目を細めていた。
強烈な眠気に耐えるために軽くシャワーを浴びるつもりが、整髪料を落としきるまで長めに浴びてしまったがために、いつもは後ろに撫で付けている前髪を額へ垂らしている姿はより幼い印象を強く与えていた。
ある時期をきっかけに鏡ダンジョンに現れる幻想体の一部が強化されたため、ギフトの恩恵を受けたうえで文字通り、いつも以上に身を削りながら攻略してきた影響が全身を蝕んでいる。
それは耐え難い疲労感だとムルソーは認識していた。
彼が身に宿しているE.G.Oのうち執行E.G.Oは、戦闘に参加する囚人たちの傷を癒しながら攻撃もできるといった危険度が高い幻想体のいる戦闘では欠かせない便利な存在だ。
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