思えばずっと、特別だった。俺にとって、潔世一は。
いつからか、“特別”の意味が変わった。潔とサッカーするのはずっと楽しかった。だって俺、気付いたら“かいぶつ”を……潔を探しちゃってたくらいだから。
潔は、ひとりぼっちの俺の世界にまで来てくれた。それからかもしれない、俺の中での“特別”が変わったのは。
ぼーっとしてるとたまに考えちゃうんだよ。今頃潔はどうしてるかなって。ふと目にした面白いこともなんでも話したい、とにかく声が聞きたい。サッカーがしたいとはまた違った感情だ。多分これが“好き”ってことでしょ。こんな気持ち初めてだ。胸の奥があったかくなる。
*
「いーさぎっ」
「蜂楽」
「へへ、潔だぁ」
ただなんでもない会話をしているだけなのに、交わす言葉一つ一つが嬉しいんだ。
「潔、大好き」
こんなことを言ったって、きっと意味は伝わらないよね。だからって言わない理由にはならない。言いたい時に、言う。脈絡なんてなくったって、俺が潔のこと大好きだから。
「え……………………あ、おう」
「………にょ?」
思ってた反応と、違う。びっくりしてるような、ちょっと照れているような。何言ってんだよなんて流されちゃうかなって思ってたから。
少し赤みがかった耳、ちょっとの沈黙の間に泳いだ目。俺の方を見たり、逸らしたり……。
ねぇ、期待……していいのかな。信じてみたい、潔の眼を。