きっとまだ眩しさには耐えられないから 嫌いだ。あの言葉に救われたと思っている私が。まんまとあの男について行くことを選んだ私が。
全部壊したい。死ぬのは怖い。そんな地獄の中で、あの人が伸ばしてくれた手が眩しく見えた。
「うわぁ、本当にボロいな」
「寝床が必要と言ったのはあなたでしょう?」
これでもマシな場所を探したつもりだ。今の地球で暮らすにはそれくらい難しい。
空き家なんていくらでもあった。だけどそのほとんどが、戦火に焼かれ家としての機能を失っていると言っても過言ではない。
「大変だノレア……使える布団が一つしかない」
「私が使うのであなたは床で寝ててください」
「ちょっとそれはないんじゃない?」
「それしかないでしょう」
野宿を強いないだけ優しい対応だと私は思いますが。一応、ここまで生きていられたのはこの人のおかげなので。
「一緒に使おうよ」
「馬鹿なんですか」
「あれ、もしかして変なこと考えてる?」
「ないです。有り得ない。気持ち悪い」
馬鹿なのは一瞬でもこの人のおかげだと思った私か。やっぱり嫌いだ。
「ありがとう、僕と一緒に来てくれて」
花を慈しむみたいな優しい笑顔を向けられたことなんてなかった。逃げてもいいなんて言われたのだってそうだ。この際、救われたことは素直に認めよう。その時胸の中に生まれた温かさは、手を当てなくても聞こえてきそうな鼓動は、たまに……たまにですけどあの人の顔を見てカーッと熱くなるのは、知らない。気付きたくもない。