ホウェア・イズ・ザ・ブラックラビット?.
「……、ぅ……んん……」
呻き声と共にもぞりとベッドの上で身動ぐ体。開け放たれた窓から直に降り注ぐ日差しに眉を顰め、それから逃れるべく布団を頭から被る。
「……」
そうして暫くじっと丸まっていたが、ふと日光の差し込む位置が普段よりも高いことに気が付いて目を開いた。億劫に手を伸ばし、懐中時計を布団の中に引き摺り込む。
「……もうすぐ九時か……」
さすがにこれ以上は寝過ぎだろう。昨夜は深酒をしてしまったためにまだ頭は鈍く重い感じがするが、事務所を開けることを考えればいい加減起きなければ。
ヒメルはベッドから体を起こして大きく伸びをした。昨日帰ってくるなり着替えもせずにベッドへとダイブしてしまったために、白いシャツは皺くちゃだ。まずはシャワーを浴びて、シナモンで遅めの朝食をとり――いや、その前に、ヒメルが飼っている黒うさぎのイナバさんにごはんをあげなくては。
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