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    kanamisaniwa

    pixivメインに二次創作(刀剣乱舞、ツイステ、グラブル、FGO等)やってます。超雑食でオリキャラ大好き病を患う腐女子です。ポイピクにはかきかけだったりネタだけの文章を投げたいです。

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    kanamisaniwa

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    600年後の未来から来たカシウスが組織メンツとラートゥガする話(ユスカシ風味)

    『デアンとヤチマから連絡が入った。あちらの掃討は完了。月侵攻部隊のまともな残存戦力は目の前のあれだけになった』
    『よし。なら、その二人をまって…』
    『待たない。来るぞ』
    『くっ!皆構えろ!!って、カシウス待て!一人で前に出る気か?!』
    『まともに機神と戦えるのはここでは俺だけだ。俺が牽制している間にお前はフラメクに雷電を装填しろ。タイミングを間違うなよ……来月生まれる子供の顔を見るまでは死ねないだろう』
    『だからって…!それを言ったらお前も死ねないだろうが!俺の子供の名前をつける約束だろう!今度こそ守ってもらうぞ!!本当は俺の名前をつけるはずだったのに、ふらふら10年もここに寄らなかったって父さんに何度愚痴を聞いたか…!』
    『ああ、あのときは悪いことをした。そうだった…もう随分…遠くまで来たな』

    カシウスは呟きながら思う。
    月の民の感覚ならば600年など大した長さではない。実際、約束の時間を10年も勘違いしてこの男の父親にしこたま叱られたこともあった。
    だが今は、遠くまできたと、長い時間がたったとカシウスは思ったのだ。
    それは遠く600年前、カシウスが空の世界を己の居場所と定めた理由になった者達との出会いと別れがもたらした変化。それは輝かしいと同時に寂しさをカシウスに与え、彼らの忘れ形見にその面影を見ながら過ごした日々は決して悪くなかった。
    カシウスは最期を看取った最愛の人の顔を思い浮かべ、その面影を受け継ぐ男に向かって叫ぶように言った。

    『取って置きの名前にしよう!男の子ならユーステス、女の子ならベアトリクスだ!』

    カシウスはそう叫ぶと槍を、アルベスを構え直し前方の機神の群れに突っ込んでいく。
    カシウスの単純勝率は0.000014%。だが、デアンとヤチマの合流まで機神を足止めできれば後ろの街の損害阻止確率は42.1206%まであがる。それでもカシウスの生存確率は1.7239%だが。
    悪くない、とカシウスは笑う。



    機神が口をあけ、高出力ビームを撃つ構えをする。
    カシウスは脳内計算が弾き出した回避と特攻の選択で特攻を即時選択。
    あと一機、これを倒せれば残りはなんとか不十分なフラメクだけで押し返せる。そうすればデアンとヤチマが来るまでの時間を稼げる。

    「道連れになってもらう!ルナ・エクリ、っぁ?!」

    がっ、と。
    なにかが機神にむけて跳躍していたカシウスの足首を掴んだ。
    そんなことはあり得ないはずだった。
    だが、足を掴まれさらに下に引かれて完全に姿勢を崩されたカシウスは空中から無様に落下する。
    そのおかげで機神のビームはカシウスの髪を数本やいただけですんだが、逆にもう後がない。
    自由落下に身を任せるしかないコンマ数秒でカシウスは最悪の状況を計算し…しかし次の瞬間起きたことにオーバーフローを起こすことになった。
    無様に地面に叩きつけられ転がるはずが、細いが逞しい腕と胸に受け止められ、さらに耳元と、そして近くからあり得ない声を聞いた。

    「フラメクの雷よ!!」
    「アルベス!!」
    「いけぇー!エムブラスクーー!!」
    「グロウノス!!」

    「1~3番隊撃てー!相手は機神だ!尻の穴引き締めて撃って撃って撃ちまくれー!!」
    「イエス!!マム!!!」

    「……」

    カシウスの脳内メモリが一瞬吹き飛び…つまり思考停止した。

    「なんであんたがアルベス持ってんのよ!」
    「600年後の月侵攻の時点でアルベスの契約者が生まれなかったからだ。俺自身は仮契約のような状態だな。最高出力はゼタの76.258%に過ぎない」
    「そうなのか?!じゃあエムブラスクは?」
    「残念だがエムブラスクは約500年後に失われる。一度破壊と再生を強引に行っていることで他の封印武器と比較し強度に難があった。それでも歴代の契約者達が手入れと改修を繰り返し長く持たせたが、それでも500年が限界だった」
    「そんなぁ…」
    「グロウノスはどうした」
    「グロウノスは200年後に正式破棄される。というより、バザラガ以降正式な契約者が現れなかった。グロウノスと半融合してなお自我と肉体のコントロールを失わない戦士はバザラガ、お前が最後になる」
    「むう…」
    「じゃあじゃあフラメクとニバス!」
    「フラメクは現存し契約者もいる。月侵攻抗作戦の要、空の民のリーダー格だ。ユーステス、お前の遠い子孫だ」

    「……」
    「ユーステスの遠い子孫ってことは…あーっ!!ユーステス結婚して子供いるってことか?!お前いつのまにーー!!!」
    「……知るか。未来の話だろうが」
    「未来の話でも子孫が600年続いてるってことはそういうことでしょ!こーの色男ー!!」

    ベアトリクスとゼタが嬉々としてユーステスに絡む。

    「なあなあ、ユーステスの子供は男?女?ユーステスに似てたか?」
    「男の子だったな。ユーステスとは顔と声は似ていたが性格は真反対だった。社交的で常に人の中心にいて、仕事も歌手をしていた」
    「「「歌手?!」」」

    その場の全員が驚いてカシウスを凝視した。我関せずを貫こうとしていたユーステスすらぎょっとしている。
    そんな顔ぶれを見ながら、カシウスは楽しそうに言った。

    「ジュエルリゾートのメインステージで年間契約をとるほど大人気だった。子孫達の中でも一番の稼ぎ頭でモテて顔が広くて、そこここの王室の楽団に招かれて王立劇場で公演することもあった。ああ、稼いだ金をほぼ丸々イルザの息子に貢いだことが明るみになってファンが騒いだこともあったな」
    「「「ーーーーーは?!!??」」」


    「きょ、きょきょ教官も子供いるのか?!」
    「ああ、容姿も性格もイルザに瓜二つだった。子供の頃から"小さな教官"と組織の中で可愛がられて鍛えられたせいか多才で、フラメクとニバスの二重契約者になってイルザの後を継いで組織を率いていた。600年の間で、封印武器の二重契約者になったのは彼が最初で最後だな」




    「……その"貢いだ金"は組織の運営費のためか?」
    「ああ、全額それに消えた。エルはフラメクと契約出来なかったことに負い目があったらしい。フラメクとニバスの二重契約者になった上組織を纏めているディックになにかと気を遣っていた」
    「エル?ディック??」
    「エルはユーステスの息子エルダリオンの愛称。ディックはイルザの息子リチャードの愛称だ」
    「なんか、二人とも子供につける名前が派手ね。ま、名前なんて縁起かついでなんぼだけど」
    「確かに、ユーステスは派手すぎると困惑気味だったな。エルダリオンの名付け親はローナンだ」
    「ぶっ…ごほっ!」

    予想外に恩人かつ元上司の名前が出てきて、落ち着こうと口にしていた酒を逆におもいっきりつまらせてユーステスが咳き込む。




    「俺は俺の生き方を後悔していない。だが、恨みを買いすぎていることも確かだ。いつかその代償を払う時が来ることも覚悟の上で生きてきた。だからこそ、"子供を得る"等考えたこともない。弱い子供は格好の標的、俺への恨みの犠牲になる可能性が高いことがわかっていて子供をもてるわけがない」
    「ふっ…まぁ、そうだろうな。エルダリオンを"救助"した時、養子に出すのか育てるのかで団長達を巻き込んで散々揉めた時もユーステスは同じ事を言っていた」
    「救助…?」
    「…俺が600年後に戻った時に消える記憶だから言うが、エルダリオンはお前の息子として立派に育ったが、正確には息子ではなくクローンだ。"敵"が封印武器の中でも強力であのディアスポラを破壊したフラメクの契約者を人為的に作ろうとお前の血液を盗み出してDNAを採取し培養、作り上げた」
    「馬鹿な…!そんな事ができ、る、のか」

    ユーステスは否定しようとして、カシウスをまじまじみながら否定しきれなかった。
    実際月の施設でカシウスクローンが何人も作られたことをユーステスは即座に思い出したのだ。そして実際にクローンの内の一人でメスを運ぶ役を担った彼は、カッシウスと名前を変えてアイザックの所に預けられている。食べ物に興味を示したカシウスとは違い、カッシウスは空の民の文学に興味があるらしく、図書館の本をすみからすみまで読みあさりグランサイファーのロミオを捕まえて質問責めにしたらしい。

    『同じDNAを使って同じように造られたのにこんなに個性が出るなんて…不思議だね』

    とアイザックは複雑そうな顔で、しかしどこか楽しそうに語っていた。
    ユーステスが考えていることを察したカシウスは、肩をすくめて言った。

    「月でアイザックが俺のクローンを山程作ったようにはうまくいかなかったようだ。"敵"の拠点に踏み込んだ時、哀れなユーステスもどきの死体が山程ごみ溜めに積まれていた。ベアが嫌悪のあまり吐いて、ゼタも膝が崩れてアルベスにすがっていた。後続でかけつけた団長達をイルザが見させまいと追い返して…俺とバザラガとお前ですべて焼き払った。その後逃亡を図っていた"敵"の首魁を追い詰めて…奴が抱えていた赤ん坊がエルダリオンだ。ユーステス、お前の唯一のクローン成功体。あの子だけを持ち逃げしようとした奴の頭を吹き飛ばして…さて赤ん坊をどうするかで延々話し合いをすることになった。まぁ、結果的にグランサイファーの子育て先輩方々に助けてもらいながら育てることになったがな」


    「イルザの息子は?」
    「ん?ああ、そちらは心配ない。正式に結婚して生まれた実の息子だ。エルダリオンと年が近いから兄弟のように育った…あとから逆算したらエルダリオンの件で走り回っているときにイルザのお腹にいたらしく、わかってからメンバー全員が真っ青になった」
    「……よく流産しなかったな」
    「医者にもそう言われた。その後出産まで徹底的な絶対安静になったな。特に夫が食器以外の物を持たせない徹底ぶりで…名前は念のため伏せるが、イルザの元部下で甲斐性もある上恐ろしい美形の良い男だ」
    「む………あいつか」
    「これだけで思い当たるのか?」
    「まぁ、な。イルザに憧れる部下は多い、いや、憧れない部下の方が珍しいが、あいつはなんというか、突き抜けた感があった。なにより飛び抜けて優秀だった。なぜか封印武器との契約がうまくいかず、家の事情も重なって退役したと聞いたときは俺ですら惜しいと思ったくらいだ」
    「ほう…」


    エルダリオンが歌手なのはユーステスと真逆をいって欲しかったのと、グラサイには山あり谷ありな騎士物語(四騎士他)やら恋愛物語(ロミジュリ他)やらの実例が多くあるので、その辺をネタにすれば曲に困らねぇな…ついでにアオイドスに弟子入りすればよくね??という雑な認識でした。
    イルザJr.はそのまんまイルザ教官(男)でくっっっっそ格好いいと思います。めちゃくちゃモテるのにモテてる自覚がなくて「彼女欲しい…」とか飲み会でエルダリオンに愚痴るものだからエルはすんっ…てなる。
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    kanamisaniwa

    MAIKING
    三ヶ月後。
    アズール先輩からの提案で参加を申請したアジーム家雇用希望者の選抜試験当日、私はジャミル先輩、エリムさん、そして面白がってついてきたフロイド先輩(本当は諸々ド素人の私を心配してついてきてくれたのをちゃんと知ってる)と一緒に熱砂の国にあるアジーム家所有の別荘の隣に設置された試験会場控えにいた。
    エリムさん曰く、アジーム家所有の不動産の中では中規模ながら市街から遠くて使い勝手が悪く最低限の手入れしかしていなかった別荘で、確かに選抜試験をするには丁度良い物件だとか。なんなら爆発させても大丈夫ですよ、と言ったエリムさんの顔はわりとまじだった。
    そしてその別荘の隣に建てられた仮設の集合場所兼待機場所で簡単な説明を受けた。といっても事前にアズール先輩が収集してくれていた情報と内容はほぼ同じで、あえて追記するなら試験会場である別荘のあちこちにライブカメラもとい監視カメラが設置されていて、その映像はリアルタイム公開されるので別荘内の様子はもとより他の参加者の様子を逐次確認できること、そして本当に魔法でもなんでも使用可、建物への損害も免責するから全力で目標を破壊してみろ、という言葉が説明担当からあったことくらい。
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    kanamisaniwa

    DONEデアアイ600年後√(子孫と再構築)、友情出演ヤチマ月の侵攻は、600年前よりも苛烈だった。
    月側は600年前のディアスポラ撃破をインシデントとし、少数精鋭での各島毎の殲滅に舵を切った。
    そのため、月の侵攻を空の民が認識したと同時に小さいが島が一つ落ち、翌日にはそのとなりの中規模の島に先行部隊のω3が侵攻。あっという間に空の民達を駆逐していった。
    だが、月側にもトラブルがないわけではなかった。

    (侵攻は計画より47%遅延。不確定要素を計算にいれても遅れすぎている。先代ω3ヤチマの離反だけでは理由として不十分だ)

    ω3の中でも戦闘に特化した最強の戦士であるデアンは、そんなことを思考しながら目の前に躍り出てきた空の民を一なぎにする。
    骨が砕ける音、悲鳴、逃げ惑う声、破壊音。
    そのどれもがデアンの興味をひくものではない。ただアドレナリン消費の足しになるだけだ。
    やがてあらかた砕きつくし周囲が静まり返ったときだった。
    かたり、とわずかに聞こえた物音、ω3のなかでも戦闘特化であるがゆえに拾えた音をデアンはたどった。
    慌てていたのか乱雑に隠された地下室への扉を蹴り破る。短い階段を降りたさきにいたのは、ひょろりと細い男だった。

    「まだ居たか」
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