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    kanamisaniwa

    pixivメインに二次創作(刀剣乱舞、ツイステ、グラブル、FGO等)やってます。超雑食でオリキャラ大好き病を患う腐女子です。ポイピクにはかきかけだったりネタだけの文章を投げたいです。

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    POIPOI 38

    kanamisaniwa

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    ポメガバース、秘境それは本当になんでもない平和な日の、麗らかな午後のことだった。

    「先生!!鍾離先生!!ショウを助けて!!」

    突如泣き叫びながら旅人の空が鍾離の洞天に駆け込んできて、鍾離とたまたま遊びに来ていたタルタリヤは心の底から仰天した。
    風魔龍に吹き飛ばされようがオセルが復活しようが一切怯むことなく真正面からぶつかっていくような剛毅にも程がある空がギャン泣きで駆け込んで来るのも天変地異もかくやだが、その理由がショウすなわち降魔大聖の救助となれば驚天動地もいいとろである。

    「ちょ、相棒?どうしたの?!」
    「落ち着け空。ショウに何があった」
    「ひっく…!ショウが、ショウ…うぅ、俺どうしたら、うぇぇぇ…!!」

    ボロボロ泣く空の様子に内心は凄まじく動揺しながらも、御年6千年の年の功か、鍾離は

    「大丈夫だ、ショウは必ず助ける。だから、状況を教えてくれ」
    「先生ぇ…!」

    「ショウ、ショウが…………ポメラニアンになっちゃったぁぁぁぁっ!!!」



    「キャン!!」


    「「…………………………は????」」

    荒事闇討ち暗殺お手の物のファトゥスも、テイワット七神武神岩王帝君も、完全に二の句が告げずに間抜けな声をあげたのだった。


    ■□


    「えーっと、相棒の話をまとめると。旅館の側にアビスの手が入ったらしき大規模なヒルチャールの巣が出来て、その駆除にショウと相棒が駆り出された。なんやかんやで全滅させたけど、旅館に帰還したと同時にショウが、えー、っと、ポメラニアン?になった、と」
    「ぐすっ…うん…」

    ガブッ!!!

    「いっっっ!!!!!」

    甘噛ではなく、本気で牙を立てた噛みつきにタルタリヤが悲鳴を上げてショウから手を離した。

    「あっ!ショウ駄目だよ!!!」
    「がるるるる!」
    「あー…うん…ほんっとうにこれ降魔大聖だね…」

    緑のポメラニアンからの凄まじい嫌われっぷりに、タルタリヤは軽く出血した指をひらひらさせつつ肩を落とした。
    奥の書庫でドサリバサリと書物がひっくり返されたり落とされたりする音がするのは、鍾離が必死に過去の記録から似たような症例がないか探しているからだ。普段であれば貴重な本の数々を乱雑に扱うなど許さない鍾離だが、事が事だけに流石に形振りかまって居られないらしい。

    ■□

    「ポメガバース?」
    「ポメガ、バース??」
    「ポメガバースだ…いや、自分で言うのもなんだがポメガバースとは…?」
    「わふっ?」

    ファトゥス、栄誉騎士 岩王帝君、そして緑のポメラニアンという謎な組み合わせの面々が雁首揃えて首を傾げた。

    鍾離がやっとのことで書庫の奥から発掘したおおよそ2千年前の古文書に、今のショウの状態に極めて似た症例が記載されていたのだが、その症例名が『ポメガバース』なる謎がさらに謎を呼んだようなものだった。

    「簡単に纏めると、過度の疲労やストレスによって肉体と精神の両方に負担がかかった際、その負担を軽減するための防御策として自身をポメラニアンの姿に変えてしまう、という症例らしい。…………いや、そんなことあるか?」
    「先生、お願いだから先生がセルフツッコミしないで…」

    知識経験その他諸々、頼り先というか最後の防波堤的な鍾離に首を傾げながらセルフツッコミなどされたら、もう他の凡人は絶望するしかないではないか。
    タルタリヤは鍾離にツッコミを入れつつ頭を抱えた。

    「うむ…ともかく、幸いなことに対処療法の記載がある。信憑性は謎だが、やって見る価値はあるだろう」
    「本当?!教えて先生!俺ができることならなんでもするよ!!」
    「うむ…この文献によると…うんんん??」
    「ちょ、先生?!どうしたの?そんなに実行難しいの?」
    「いや、なんというか…ちやほや、するらしい」
    「「ちやほや??(くぅーん?)」」

    「つまり、撫でて褒めて喜ばせることで自己肯定を取り戻させるってことかな?過度なストレスや疲労の防御策がこのポメガバースって症例なら、まあ、わからなくはないけど…けどそれって」

    ちら、とタルタリヤが緑のポメラニアンを見ると、やんのかコラといわんばかりの金色の視線が返ってきた。勿論ポメラニアンの今そんなもの怖くもなんともないが、問題なのはそういう"ちやほや"はショウが酷く苦手とするものだということを嫌われまくっているタルタリヤですら知っていることだ。


    ※※※※※※※※※※※

    「そもそも、この秘境を俺と留雲借風真君が作ったのは、その、とある夫婦の夫婦喧嘩?を何とかする??ためだった」
    「………あー、えーっと、のっけからツッコミどころ満載だけど、とりあえず続けて?」




    「ディルックの旦那の嫌いなもの?えーっと、ファデュイ?」
    ーーーーーピンポーン!

    軽快な音を立てて○が浮かび上がったので、なるほどそういう仕組みかと納得したガイアはとりあえず思いつくだけ口にした。

    「とりあえず、酒」
    ーーーーーピンポーン!

    再び丸が浮かんだ。

    「騎士団はどうだ?」
    ーーーーービッ!!

    今度は少し耳障りな音を立てて短い音が鳴った。浮かび上がったのは△だ。

    「おしいって感じか?……騎士団上層部。ジンを除く」
    ーーーーーピンポーン!
    「細かいな…」

    「なら邪眼」
    ーーーーーブー!

    今度ははっきりと耳障りなものだった。浮かび上がったのは"既出"の文字。

    「いや、文字が出るのかよ!なんで記号が優先なんだ…既出ってことはファデュイと一括か」


    「…………見合いを持ってくる親戚?」
    ーーーーーピンポーン!
    「まじか」



    「よし、ならラストは俺!これでクリアだ」
    ーーーーーブー!

    浮かび上がったのは☓だった。

    「は?なら、ガイア・アルベリヒ!これでいいだろ」
    ーーーーーブー!

    またしても耳障りな音ともに☓が現れた。

    「だから俺だって!」
    ーーーーーブー!
    「なんっっでたよ!あー、ガイア・ラグヴィンドならいいか?!」
    ーーーーーブブー!
    「だから!!!俺だって言ってるだろぉ?!!!」
    ーーーーーブビィィ!!!

    ガイアの意地とヤケがはいった叫びと、耳障りなブザー音が響く。タルタリヤの耳には、そのブザー音は「だから不正解だっつってるだろーが!!!」という叫びに聞こえた。



    「ガイアが嫌いなもの?……ぶどうジュース」

    ーーーーーピンポーン!

    「そういう仕組みか。なら書類仕事」

    ーーーーーピンポーン!

    「…わりと一般的なことでも大丈夫か?ブドウスカシバ(ブドウにつく害虫)」

    ーーーーーピンポーン!

    「ふん、ならゴキブリ、蜘蛛、ナメクジ、モグラ、蛇、トカゲ」

    ーーーーーピン、ポ、ン???

    とりあえず一般的に人が嫌いそうなものを列挙しはじめたディルックの言葉に、判定はとても微妙な音を立てつつも○を連続で出し、そしてガチャ!と扉が開いた。

    「あ、なるほど。そうすればいいんだ」

    空は感心してぽん、と手を打った。
    部屋の扉を開けるルールの仕様上、特別ガイアが嫌いなもので悩むより、一般的に人が嫌いそうなものを列挙してそれがガイアに当てはまったほうが効率がいい。





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    kanamisaniwa

    MAIKING
    三ヶ月後。
    アズール先輩からの提案で参加を申請したアジーム家雇用希望者の選抜試験当日、私はジャミル先輩、エリムさん、そして面白がってついてきたフロイド先輩(本当は諸々ド素人の私を心配してついてきてくれたのをちゃんと知ってる)と一緒に熱砂の国にあるアジーム家所有の別荘の隣に設置された試験会場控えにいた。
    エリムさん曰く、アジーム家所有の不動産の中では中規模ながら市街から遠くて使い勝手が悪く最低限の手入れしかしていなかった別荘で、確かに選抜試験をするには丁度良い物件だとか。なんなら爆発させても大丈夫ですよ、と言ったエリムさんの顔はわりとまじだった。
    そしてその別荘の隣に建てられた仮設の集合場所兼待機場所で簡単な説明を受けた。といっても事前にアズール先輩が収集してくれていた情報と内容はほぼ同じで、あえて追記するなら試験会場である別荘のあちこちにライブカメラもとい監視カメラが設置されていて、その映像はリアルタイム公開されるので別荘内の様子はもとより他の参加者の様子を逐次確認できること、そして本当に魔法でもなんでも使用可、建物への損害も免責するから全力で目標を破壊してみろ、という言葉が説明担当からあったことくらい。
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    kanamisaniwa

    DONE晴道+息子+ぐだのよもやま話(捏造生前有)「父は、一言多い上に一言少ないんです。多い時には神経を逆撫でして大抵恨みを買い、少ない時には思わせ振りがよいといらない情を買う。これはもう僕が子供の頃からで、何度本人に言ってもなおらない不治の病ですね」
    「えぇ…まぁ、うん…ちなみに今回のは多い方?少ない方?」

    立夏が目の前の騒ぎを指差しつつ吉平に問いかける。その指差す先には「晴明ぃぃぃっ!!」「はっはっは!」と言い合い?ながら即死級の術を連発している道満とそれを捌いている晴明の姿があった。
    ノウム・カルデアに安倍晴明が召喚されてしばらくたち、一瞬即発の事態をなんとか回避してきたのだが、とうとう今日本格的に正面衝突してしまったのだ。
    それでもマスター命令で衝突の場をシミュレーションルームに出来たのは不幸中の幸いであり、また、双方に縁ある息子の吉平が万が一の仲介役として同行してくれたので、ギリギリなんとかなっている、というのが現状だった。

    「ちなみに、今回はどっち?」
    「一言少なくて恨みを買う珍しいパターンですね。…大抵道満法師様にしか発動しませんが」
    「……デジマ?ちなみに何て言ったの?」
    「『サーヴァントになってもやっぱり吉平は式 1299

    aruteamoon

    DONEキスの日。カリジャミでウブいやつ。
    多分付き合ってないし、夜伽もしてない時空の健全な幼なじみカリジャミ。無事にタイトルつきました(笑)
    口付けに愛は伝う




    その日もいつも通りの晴天で、とくにこれといって風が強そうだという訳でもなく、休日の朝から早めに洗濯物を干そうかと考えながらキッチンに向かう廊下を歩いている時だった。
    後ろから呼び止められる聞き慣れた声に平穏な朝は終わりを告げる。いつもなら起こしに行くまで寝ているくせに、何故休日に限ってこの男は早起きしてくるのか。
    その理由は腕を引きながら連れて行かれた寮長室で、開口一番知らされる。


    「なぁジャミル、今日は何の日か知ってるか?」
    着崩れていた寮長服を整えてやっていると構わずカリムが話しかけてくる。
    無意識に手を動かしながら頭の中で知りうる限りの記念日を検索したが思い当たらず首を捻っていると、カリムが今度はスマホを取り出した。
    「なんだ?なにか大事な事でもあったか?俺が忘れる筈は無いと思うんだが」
    「ああ、オレもジャミルもこう言うのあんまり知らないもんな!オレもこないだケイトに聞いて知ったんだけど…」
    カリムは取り出したスマホをカメラモードに切り替えると、自撮りをするのか並んで此方に画面を向けた。
    「なんだ?撮るなよ」
    「実はケイトに頼まれてる写真があってさー 5320

    キビ○

    MAIKING晴明さん実装してくれないので、我慢ならず溜まったネタをこちらに吐き出したく思います!ふるみ先生がセンペルビウムを育ててるツイしてましたので、それで思いついてしまった現パロオフィスラブ晴道+リンボ。多肉植物の妖精?悪魔?のリンボとそれを飼う晴明さんと職場の同僚の道満のドタバタオフィスラブ。頑張って続き書けるといいなぁ。
    多肉植物を飼う晴明さんのお話いつもの帰り道。毎日通る高架下に怪しげな露店が出ていた。繁忙期であったので定時を大幅に過ぎての帰宅だった為、駅の線路下のこの場所はオレンジの蛍光灯がじりじりと音を立てているだけで人気はない。そんな不気味な所に如何にも怪しい露店がひとつ。いつもなら気にも止めないだろうが今日は何故か立ち止まってしまった。簡素な机の上にケミカルな色合いをした謎のキラキラした液体が満たされたガラスのティーポットやら、虹色に輝く刺々しい石など、よく分からない物が色々と並んでいる。その中でやけに目を引いたのが小さな植物だった。
    「やあ、このセンペルビウムが気になるかい?」
    白いローブを羽織った露天商が声をかけてきた。ローブの影から除く瞳がきらりと輝いており、その声は人当たりの好さそうな感じがするがどうも胡散臭い。
    2025