余生、と思われて同情されるなんて真っ平ごめんだァと思っていた。
全て亡くしたけれど
守りたかったものも
慈しみたかったものも
遺したかったものも
全てすべてなくした痛みは一生無くならないし消えても薄くなってもくれやしねェとは知ってる。
だけれど
目の前で盃を傾ける男もきっと一緒で。
近づけば近づくほどに己との相似を突き付けらたらもうダメだった。
まるで線対称のような、点対称のように
裏と表、+と-、たったそれだけの違いだったと気づいてしまったらもうしょうがなかった。
「一緒に暮らすかぁ」
「いいのか」
「いやなら言わねぇ」
「そうか。では世話になる」
「世話するつもりはねえよ!」
傷を舐めあうような提案だと思ったそれを、目の前の男は即決したから
(ちったぁよく考えろォ)と思った事は胸の内から出すことは無かったけれど