「あ~~~もう、水持ってきてやるから待ってろ」
私をどさりとベッドに下ろしてから、キッチンから水を持ってこようとする吸血鬼が、遠くに行ってしまうのが嫌で、マントの端を掴んだ
「ん?どうした?気持ち悪くなってきたか??トイレ行くか??」
グイっと引っ張られても心配そうな視線が返ってくるのみで
「気持ち悪くないけど、気持ち悪い」
「どっちだっつの」
「・・・私はお酒飲んでないからね」
一応責任ある立場だし、別に酒豪でもないから呑むことにそこまでの情熱は感じない
ただただ、懇親会という名の吸対と退治人達やこの町になじんできた『仕事の手伝いをしてくれる』吸血鬼を交えての飲み会は盛況だった。
「じゃあ、なんでそんなフワフワしてんだよ」
「楽しかったからねぇ」
心配して損したと言わんばかりの吸血鬼がベッドサイドに座りながら言ってくるそれに
ふにゃふにゃと答えれば
「あ~~~~・・雰囲気か。つか、だったら気持ち悪くねぇじゃん」
「ん~~でも気持ち悪いんだよねぇ」
「・・・食いすぎた??」
「君さ、私と食卓を共にしてたら私がそこそこ食事量摂るの分かってるよね?」
「下手したら俺より食ってるもんな」
「でしょ」
「だったら、何が、嫌だったんだ?」
ほう、気持ち悪いを精神的な嫌だったに変更できるようになったのかね君は、とわずかながらに驚く
そうだね君はここにきてたくさんの物を覚えだした
それは人間の日常生活の基本から、それよりも高度な人とのコミュニケーションまで
昔のそれこそシンヨコに来たあの夜の『死にに来た!!』と笑った君は、まごうことなくまだ幼児だったのだと思う程度に
―幼児のままでいてくれたら、良かったのに―
と思う程度に
飲み会でまざまざと思い知らされた
誰もかれも君に引き寄せられ、共に笑い、触れ合い、ふざけあい
みんな、『君の事が大好き』なんだと思い知らされるたびに、心の中がドロリと澱がたまる心地がした
―私が見つけたのに―
―私の物なのに―
―私以外のほかの誰も聞くな、触るな、見るな―
そんな醜い独占欲だけで胸が詰まって
そんな醜い独占欲を持ってしまった自分をどうしようもなく理解させられて
「・・・君といると、たまに自分がひどく嫌になる」
ポツリと静寂にその言葉だけが落ちた
※この後でΔロナ君は家出するし
Δロナ君を必死で探すΔドラはいると思うのです(ハピエン)