今日という日にありがとう帰りにコンビニで買い込んだ缶ビールを2つ取り出して蓋を開けると、1つは机に置いたまま、もう1つを持ち上げて軽くぶつけるとようやく喉を潤す。
「やっとお前に奢れたな」
金を惜しまず、いつも面倒をみてくれた兄弟分を思い出す。
いつも奢ってもらってばかりいたが、いつか俺が奢ると約束をしていた。
本当ならこうやって毎年奢るつもりが……できなかった。
現実を受け入れることが辛く、思い出すと立てなくなるのではないかと不安になったからだ。
しかし、いい加減そんな弱さと別れを告げないと笑われてしまうと、今年は部屋で祝い酒を決めた。
「錦は酒に詳しかったが、今日はビールで我慢しろよ」
誰もいない空間にポツポツと言葉を投げる。
昔を思い出したり、自分の近況を報告した後、あの爆発が起きてからどれくらいの時が経っただろう、とボーッと考えながら酒の量を増やしていくと、いつの間に寝てしまったのか……。
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