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    mugen_kinoko03

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    mugen_kinoko03

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    なかよしアダルトリオのほのぼの系日常。

    かみぶくろ「ドーズの部屋を見に行こう、静」
     
     
    嵐のようにやって来た友人を迎え入れれば、急にそんな誘いを受けた。
    とりあえず、その名で呼ぶのをやめるよう諭してみた。
    安直に本名を呼ばれたくないのと、話題を逸らそうと試みるためだ。
     
     
    「あぁ失敬。で、どうする」
    「何がです」
    「ドーズの部屋に行くか?」

     
    作戦大失敗。クレオの意志は固すぎた。
    なぜドーズの部屋に侵入したがるか、理由は解っている。
    ドーズは滅多に自分のプライベートを明かさない。
    そこが彼女は嫌なのだ。観察狂ゆえに、未知があるのが不満なのだろう。
     
     
    「あいつ一応野郎ですけど」
    「そうだな」
    「野郎の部屋に、女がひとりで行くってどうなんですかねェ……」
    「だからお前を誘ったんだろう」
     
     
    あっさりした口ぶりでクレオは返した。
    なるほど俺はもしもの時の壁代わりですか、ぶっ飛ばしますよ。
     
    ーーーーーー 
    その後、結局のところ押し負けて同伴を認可してしまった。
    ドーズの部屋は、変なところにあった。
    隠し扉という扉をくぐりぬけ、ようやっとそれらしき部屋を見つけ出す。
     

    「なんだ此処は、忍者屋敷か何かか?」
    「どんだけ自分の部屋見つけてほしくないんですかァ、あいつ……」
     

    さすがに歳を感じざるを得ない距離だったが、目的地にはたどり着いた。
    これであとはクレオの気が済むまで部屋を見せるだけだ。
    特に仕掛けのなさそうなちっぽけなドアを、クレオが押し開ける。


    「きゃっ」
    「あ、悪い」
     
     
    速やかにドアを閉めた。
    ドアの向こうから感じる気配をよそに、二人で顔を見合わせた。  
    中には、人がいた。首から上が無いモッズコートの男が。
    とどのつまり部屋の主、ドーズが在室だったわけだが、問題はそこじゃなく。
     
     
    「……ドーズだったよな?」
    「えぇ」
    「紙袋、作ってたよな?手内職してたよな」
    「はい」

     
    部屋の中では、ドーズが紙袋を作っていた。
    いつも被っている……というか乗せている紙袋を。
    ただ、今作成中の紙袋にはいつもと違う点がひとつ。
    戸惑っていたら、ドアが開いた。

     
    「貴様らァ!!何をしてる!なぜここにいる!!」
     
     
    声をひきつらせたドーズが出現。
    慌てていたようで被った紙袋もくしゃっとしている。
     
     
    「ご機嫌ようドーズ」
    「あぁご機嫌よう!ではなく!何の用だ!!」
    「遊びに来た。いや何、お前の部屋は見た事がないとふと思ったものでな」
    「疾く帰れ!!チューチュートレインで轢き殺すぞ!」
     
     
    こいつに顔が存在するならばきっと真っ赤だったろう。
    別に帰ってもいいが、その前にひとつだけ疑問を解消したかった。
    クレオも同じだったようで、ドーズのキレ散らかしがひと段落した頃合いを見計らって訊ねかける。
     
     
    「ドーズ。お前の紙袋の表情は自分で描いてるのかね?」
    「馬鹿を言うな、俺はお絵描きなどという暇なことはしない」
    「あ?じゃあ誰が描いてんです」
    「パティだ」
    「えっ」 
    「昔、俺の紙袋が無地だと寂しいからと落描きされた。以来紙袋の予備を作る度にあいつに描かせている」 
     
     
    パティの名前が口から出た途端、バーサーカーのごとき荒れっぷりから一転、急に大人しくなったドーズ。
    昔からそうだが、こいつはあの小娘のことになると本当に落ち着く。 
    ていうかパティが描いていたのか、あれ。ずいぶん可愛い絵を描くものだ……ちょっとほっこりした。
     

    「で、何だ……部屋だったか。やめておけ。女が気安く男の部屋に立ち入るものではない」
    「そうか……まぁいいさ。今入っても紙袋の山しか見れないだろうしな」 
    「あぁそうそう、きゃっとか生娘みたいな声出してたのは黙っといてやりますよォ」
    「待てやはり二人とも上がっていけ、ネギでしこたま殴ってやる」
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