小さい女の子プロローグ アリアンナ
パチ…パチパチッ…
暖炉の薪が音をたてている。
ずっと雪に覆われたお城
綺麗だけどよく消えちゃうお姉さん達
おじいちゃまのお顔をした鳥の様な人達
何時も床磨きをしているお掃除のおじいちゃん達
変な兜を被ったお兄ちゃん達
物心が付いた時から周りに居る皆は優しかった。
(お外に居る大きいお腹の虫は苦手だけど)
暖かいお部屋
ふかふかのベット
優しいお母さま
ちょっと怖いお父さま
だけど幸せだった。
お父さまは怒るとちょっぴり怖いけれど、大きな手で頭を撫でてくれるのが大好きだった。
お母さまは好き嫌いをするとお父さまより怖いときが有ったけど、寝る前に抱っこをして色々なお話をしてくれるとふわふわ温かくて気持ちよくて…幸せだった。
けれど私が10歳を迎える前にお父さまは急に居なくなった。
その日からお母さまはずっと泣いてばかりいる。
お父さまの事を聞いてもただ私を抱き締めて嗚咽を漏らすばかりだった。
どれくらい経ってもお母さまは相変わらず泣いてばかりだったから私はどうしたら良いのか分からずお城の皆に聞いてまわった。
でも、消えたりするお姉さん達は困った顔をするばかりだし、床を拭くおじさ達も同じ顔をするばかりだった。
おじいちゃまのお顔をした鳥の様な人達は私の言葉が通じないのか、遊んで欲しいと勘違いしたのか分からないけど背中に乗せて飛んでくれた。
楽しかったけど、お父さまの事、お母さまが泣き止む方法が分からないから途方にくれてたら変な兜を被ったお兄ちゃんと会えた。
滅多にお城に居ないからビックリしたけど、お兄ちゃんにお父さまの事、お母さまの事、お母さまがずっと泣いてばかりだからどうして良いか分からない事を話した。
少し間が空いてからお兄ちゃんは
お父さまは死んだ事
お母さまは悲しくて泣いていただけではなく、このお城から出ていかなければならないことを教えてくれた。
「どうしてお城を出ていかなければならないの?」
お兄ちゃんに聞いたら、死にたくはないだろう?と聞かれたから、うんと答えたらぽんと私の頭に手を置いて何処かに行ってしまった。
それから程なくして私とお母さまは城を出た。
私は大事にしていた縫いぐるみとお父さまが買ってくれた靴を履いて。
お母さまは最低限の着る物だけを持って。
そして行き着いた先がヤーナムだった。
私はまだ知らない。
お母さまがどうやって私を養って行くかも。
そしていずれ私もお母さまと同じ様に生きていく事になるのかも。
続