泡沫の人魚白い砂浜、真っ青な空と海。
すっかり見慣れた景色の中に、今日は一つ違う色が混じっている。
いつものように、青斗が海に遊びに行くと、浜辺に一人の青年が倒れていた。
サラサラとしたピンク色の髪。顔は伏せられていて見えない。
「あの、大丈夫ですか?」
青斗は恐る恐る声をかけた。
しかし、反応がない。
「大丈夫ですか?」
今度はさっきよりも少し大きな声で。
軽く肩も叩いてみる。
青斗はとても不安だった。
もし、この人の目が覚めなかったらどうしよう。近くに大人はいないし、頼りにしている年上の彼もいない。
どきどき、ばくばく、心臓がなる。
しかし、そんな青斗の心配をよそに、青年の体がぴくりと動いた。
無事に意識が戻ったのか、もぞもぞと身動ぎし、彼はゆっくりと起き上がった。
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