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    @owari33_fin

    アズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア3️⃣ Az-6-1 『双子』

     三年になった僕は、継続してオクタヴィネル寮長を続け、ひたすら目の前の仕事をこなしていた。同時にモストロ・ラウンジの支配人、そして今まで首席であるリドルの名前があった場所にアズール・アーシェングロットと名前を刻み、更には四年から開始するインターンので必要な知識、そして会社の改善点を書き出しては、忙殺されヘトヘトの顔を笑顔の下に隠し、必死に日々を送っていた。
     そんな中、年も明け少しした頃、義父から連絡が入った。義父とのやり取りは、全て履歴の残らないメッセージアプリで行っていた。ロック解除コードを打ち込んで確認すれば、そこには慌てた様子の義父からメッセージが何通も届いていた。
     出産予定日がまだずいぶん先のはずのリドルが急に破水し、そのまま分娩室に運ばれたこと。早産で急な出産の中産まれた子供が無事だったこと。僕の黄金の契約書イッツ-ア-ディールが発動し呪いが無事に引き剥がされたこと。そして、子供が父親違いの双子だったこと……
     添付された写真には、赤い光沢を帯びた灰銀髪と毛先の赤いターコイズブルーの髪をした赤子がベビーベッドの中で眠っていた。そして、もう一枚添付された写真には、魔力が抜け落ちたせいで真っ白い髪をし、女性化したリドルがずいぶんと小さな子供を二人抱き上げ写っていた。
     その髪色に、冥府に近い場所、全力で原初のファントムに自身の全魔力を叩き込み。結果、今にも儚く消え入りそうな白い髪になって、死んだ様に気を失ったリドルを思い出し、凄く嫌な気分になった。あんな姿を思い起こす物なんて、もう二度と見たくはなかったのに……
     産まれてくる子供のことばかり考え、自分の身の安全を疎かにするリドルに腹がたった。人の前に盾となり立つ事が身に染み付いているリドルは、彼のルールの上で守るべき対象を決めてしまえば、自分の事など考えず守ることばかりに意識を向ける。そうやって今まで、リドル・ローズハートは何かしら削り取られ、ずっとどこか歪だった。
     写真を見つめ、とにかく会いに行く時間を作らなければと、そんな時に限って少しの時間も取れない僕がやっとリドルに会えたのは、子供が産まれてから四ヶ月も経った頃の、学園がスプリングホリデーに入ってからになってしまった。
     闇の鏡を抜け、陽光の国。昔一度だけ行ったことのある義父のいくつかある事務所のうちの一つ、ビル四階がリドルが隠れ棲む場所だ。ザァザァと大雨が降る中、水に濡れる事に抵抗のない僕は、早足でリドルのいるビルを目指す。
     彼をここに連れてきて最後、一年弱も会うことが出来なかった。ずっと、リドルは今どうしているかばかり考えて、ずっと触れたくて仕方なかった。ビルの入口を潜り、階段を駆け上がった先、掠れて何が書かれているのか分からないプレートの横、カメラ機能も無い不用心な黒いボタンだけのインターフォンを押せば、記憶より少し高い声、真っ白い髪を肩まで伸ばしたリドルがドアを開けた。
     ここに来るまで、本当は「無茶をし過ぎだ!」と、少し怒ってやらなければと考えもした。子供のことばかりではなく、あなた自身も大事にして欲しいと、そんな事を言わなければと思っていたのに、リドルの顔を見たら、どうしようもなく好きだという気持ちが溢れて、リドルの名を呼び、記憶より柔らかな身体を抱きしめていた。
    「その名で呼ばれたのは、久しぶりだよ……」
     そう言ったリドルの表情は、懐かしさ以上に喪失感を滲ませ小さく笑っていた。
     リドルが今世話になっている老夫婦とやらの家は、生活感に溢れていた。ごちゃごちゃと積み重なった雑誌や新聞、スプリングの壊れたソファーには、それを隠すようにキルト生地のカバーが掛けられてある。机の上には、花瓶に生けられた濃いピンク色の花の隣、飴の入った瓶やジャムの瓶、シュガーポットが雑然と置かれている。
     そんなテーブルの近く、真っ白いベビーベッドには、見覚えのある髪色の赤子が眠っていた。自分によく似た毛色の赤子と、あいつによく似た毛色の赤子。こんなにも似ていないのに、双子として扱われるこの子供たちに、一体どんな皮肉だと思わざる負えなかった。
     大体、僕の知っている双子なんてあの馬鹿ウツボ二人しかいない。鏡合わせのように見た目よく似た二人のような存在を双子と思っていた僕に、全く容姿の違うこの二人を双子……しかも、よりにもよって僕とリドルの子供が、フロイドとリドルの子供と双子として扱われるんだ。あの時、人生で初めて祈った神は、ずいぶんと意地が悪い性格のようだ。
    「アズール、できたよ」
     料理ができたと僕を呼ぶリドルの声に、今はこの事を考えるのは止そうと、意識をそらすためにポケットの中の紫色のリングケースを服の上から撫でた。
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